新型コロナの感染拡大が深刻化した2月下旬に、東京都は豊洲市場の一般客の入場を禁止すると発表した。入場禁止で被害を被ったのは、市場内の飲食店だった。
「市場内には新鮮な魚料理を提供する店が何店舗もありますが、利用者は観光客。仲買人や競り人といった内部の人間が利用することはまずなく、一般客の利用がほとんどだったのです。それでも東京都は『中央卸市場は休んではいけない』と通達を出したので、店は開店休業状態が続いていました」(豊洲市場関係者)
そんな状態は長く続かず、市場内の飲食店の半数が休業。仲卸業者も休業に入りたいが、都の要請で補償もないのに営業を続けるという生殺し状態が続いている。
「緊急事態宣言が発令されたことによって、高級飲食店や寿司屋が休業したことで、魚が売れなくなった。コロナ騒動以前は昼ごろまで店を開けていたのですが、今は9時ごろにはほとんどの仲卸業者の店が閉まっています」(仲買業者)
高級料理店や寿司屋の相次ぐ休業で、豊洲市場の本マグロは前年に比べ値段が半減。ウニやのどぐろなどの“高級魚”の値段も大暴落しているという。
「ステイホーム週間(4月25日から5月6日)が開ければ回復すると思ったのですが、仲卸業者の顧客だった店が倒産している。普段は仲卸業者が競り人にいい魚を頼むのが、今は競り人が仲卸業者に『買ってくれないか?』とお願いしていて、立場が逆転しているほどです」(水産仲卸業者)
死滅状態の豊洲市場を管理・運営する東京都の最高責任者の小池都知事は、コロナ対応で連日テレビ出演。政界関係者から「新型コロナを選挙運動に利用している」と揶揄されている。
「小池都知事は“再選確実”といわれていますが、ホリエモン(堀江貴文氏)が出馬するという話もある。豊洲市場を復活させないことには都民の支持は得られません」(都政ジャーナリスト)
再選を狙う小池都知事の豊洲対策が注目される。