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森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」 ★吉村知事支持の背景は

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提供:週刊実話

 加藤厚生労働大臣は、5月15日の会見で、今年4月後半に日本赤十字社(日赤)が採血したサンプルの抗体検査の結果を明らかにした。東京の500サンプルのなかで陽性と判定されたのは3サンプル、陽性率は0.6%と非常に低い数字だった。

 慶応大学病院が4月13日〜19日に来院した無症状の患者67人にPCR検査を行ったところ6%、4人が陽性者だったのと比べると10分の1の感染率だったのだ。

 もちろん慶応大学病院の調査は、サンプル数も少なく、来院患者という偏った対象者だったが、そうした事情を踏まえても、今回の調査結果は、予想よりはるかに低かった。

 ただ、問題は公表のタイミングだ。日赤が東京都で採血を行ったのは、4月後半だ。抗体検査はすぐに結果が出る。実際、新聞報道では、5月1日には結果が公表される見通しとされていた。ところが、実際の公表は2週間後だった。公表が遅れたのは、高い感染率が出たからではないかと私は疑っていた。ところが、5月8日にある報道関係者から、「すごく低い数字が出てきたので、公表を遅らせているらしいですよ」という話を聞いた。低い数字を出すと、ゴールデンウイークに緩んでしまうのを警戒したというのだ。私の耳に入ったくらいだから、小池都知事は当然結果を知っていたはず。しかし、小池都知事はその事を言わなかった。

 私には、ずっと不思議に思っていたことがある。それは、普段、お上の言うことを聞かない大阪の人たちが、吉村知事の自粛要請を東京よりきちんと守ってきたことだ。その理由は、情報公開に対する姿勢だと思う。

 例えば、吉村知事は3月20日に大阪と兵庫間の往来自粛を求めたとき、厚生労働省が作成した非公開前提の「大阪府・兵庫県における緊急対策の提案」という文書を公開した。自粛の根拠を明確化したのだ。情報公開の姿勢は、その後も続き、5月5日には全国に先駆けて大阪モデルと呼ぶ独自の出口戦略を決めた。(1)新規の感染経路不明者数10人未満、(2)PCR検査陽性率7%未満、(3)重症者向け病床使用率6割未満――という3つの基準を7日間連続で下回れば、段階的に自粛要請を解除するとしたのだ。実際、この基準は達成され、大阪府は段階的自粛解除に舵を切った。

 一方、小池知事が15日に発表したロードマップは、(1)新規感染者数1日20人未満、(2)感染経路不明率50%未満、(3)週間感染者数減少という3条件クリアしたうえで、(4)重症患者数、(5)入院患者数、(6)PCR検査陽性率、(7)受診相談件数――を加えて、緩和を総合判断するという。

 視点は大阪モデルとよく似ているが、決定的な違いは、大阪が具体的に数値目標を掲げて誰でも分かるようにしているのに対して、東京は「総合判断」ということだ。さらに、基礎データも大阪がすべての数値を毎日公表にしているのに対して、東京は民間を含むPCR検査の実施人数や重症患者向けの病床使用率を公表していない。東京は大阪に比べて情報公開の程度が大きく見劣りするのだ。

 人間は目標がないと頑張れない。いまからでも遅くないから、小池都知事は、毎日持っているデータをすべて公開すべきではないか。それが都民の信頼醸成につながるのだ。

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