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釣れた魚と旨い酒!日本全国釣り行脚 神奈川県横浜市・鶴見川産キチヌ

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提供:週刊実話

 多摩丘陵をその源とし、神奈川県横浜市で東京湾へと流れ出る鶴見川。中流から下流にかけては1960年代に宅地開発が進み、河口には京浜工業地帯が広がる環境から、高度経済成長期以降は酷く汚れた川となりました。
 前回は、そんな鶴見川へスズキ狙いで釣行し、首尾よく本命を確保。その上、食べてみたらメチャクチャ旨かったという、いいこと尽くしの1日でありました。

 ということで、翌週に友人を誘って再出撃と相成りました。スズキの食味もさることながら、それまで夜の川面に煌めいていた電気ウキの灯りが「ユラ〜ッ」と沈み込む瞬間が、もう…タマランのです。ワタクシ、すっかり電気ウキジャンキーでございます。

 気が急いていたこともあり、まだ明るいうちに現地に到着。まだチャンスタイムまで時間があるので、釣り場近くの銭湯でひとっ風呂。サッパリしてから川原へ向かうと、だいぶ暗くなってきてよい雰囲気です。

 川原からは時折「ヒュッ!」というルアーを投じる音が聞こえ、我々と同じくシーバス(ルアーで釣る時のスズキの呼び方)狙いの釣り人がいるようですが、何せ広大な河口護岸全域が釣り場ですから、我々の近くに釣り人はおりません。

 さっそく、電気ウキ仕掛けにエサのアオイソメを付けて、護岸際を流していきます。友人は自分なりに攻めたいポイントがあるようで、さらに下流へと消えていきました…。

「シメシメ、これで見えている範囲のポイントを一人占めできるわい」

 ほくそ笑みつつ、係留船の陰やら桟橋の際やら、いかにもいそうな所へウキを送り込みます。潮時も申し分ありません。それなのにまったくアタリがありません。はて、どうしたものか…。

 思いもよらぬ状況に眉をひそめていると、胸ポケットに入れていた携帯電話が、夜の川原にけたたましく鳴り響きました。

★待望の瞬間到来鯛系が連発!?

「すまん、玉網頼むっ!」

 声の主は、河口へ向かった友人でした。かなり慌てた様子を感じ取り、急いで玉網をセットして駆けつけてみると、軟調の竿がグンニャリと曲がっていて必死の格闘中。ヘッドライトで水面を照らすと、水面をのたうつのは体高があって丸い魚体です!

 こりゃ、確かに抜き上げはムリですな。

 慎重に玉網で取り込んだのは、45センチはありそうな良型のキチヌ(キビレ)です。スズキよりも羨ましいっ!

 こちらはアタリすらなく、目ぼしいポイントを粗方探り終えていたこともあり、傍で彼の釣りを眺めることにします。

 桟橋際を流れる電気ウキをしばらく眺めていると、怪しく動いた後に、ス〜ッと引き込まれました。そして、やってきましたよ、この瞬間が! ウキの灯りが水に滲み、ぼんやりと柔らかく広がります。

「コレよコレ! コレが見たかったのよ!」

 ビシッ! と合わせも決まって、再び竿が絞られます。断続的な激しい抵抗に耐える様は、何とも楽しそうです。
「重いし、結構デカイかも」

 それを聞いて、再び玉網を構えてスタンバイ。やがてライトの光に照らされたのは、またしても体高があって丸い…。玉網に納まったのは、1尾目と同サイズのデップリ太ったキチヌでした。う、羨ましすぎる…。

 背の肉付きがよく、いかにも旨そうな魚体に「いいですねぇ!」を連発していると、何と分けていただけるとのこと(相変わらず図々しいな、オレ)。

 すぐに飛び付いて血抜きを施し、クーラーボックスへ直行。電気ウキの醍醐味を堪能できたうえにお土産も手に入ったため(すべて仲間のお手柄)、竿を納めて帰路に就きました。

★勇気を出したが超臭かった…

 キチヌといえば、西日本で知名度が高い魚であり、淀川や武庫川といった河口の汽水域で人気の釣魚です。

 かつての悪評が記憶に新しい鶴見川産ということで料理法に悩みましたが、やはり“男は黙って生食”、刺身でいきます!

 三枚におろして皮をひくと、包丁がベッタリと白くなるほどの脂が乗っていました。が、この皮下の脂に都市河川特有の悪臭が溜まっているようで、まぁ臭いこと…。刺身もやはり独特の下水臭が鼻をつきます。

 んが、魚自体の脂が濃いせいか、よく噛んでいると旨味も感じられます。

 とはいえ、やはりニオイは強烈。酒で流し込みつつ何とか完食にこぎ着けました。

 同じ場所で釣ったスズキはあれほど激ウマだったのに…。環境が改善されてきたとはいえ、まだ道半ばであることを実感させられた初夏の夜でありました。

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三橋雅彦(みつはしまさひこ)子供の頃から釣り好きで“釣り一筋”の青春時代をすごす。当然の如く魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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