例えば、大阪・ミナミの宗右衛門町周辺では、空き巣狙いの泥棒が横行しているという。
「ミナミのあるバーでは、店主が閉店中の店に立ち寄ったところ、シャッターが開けられていて、店内のカウンターからドンペリやマッカランなどの高級酒が消えていた。また別のガールズバーでも同様の被害に遭っている」(大阪市内の飲食店経営者)
犯行に共通しているのが、少人数によるもの。そして、現金よりも物品が狙われている点だという。
「現金の類いは、今のように自粛要請が長引いている状況では探すのに手間取る。しかし、高い酒なんかは意外に分かりやすいところに置いてあるし、人を介して横流しすれば換金も容易。質屋も目をつぶるところがありますからね」(同)
被害に遭った飲食店には「まともな店が少ない」ということも共通しているという。
「狙われているのはぼったくりバー、悪質なホストクラブ、違法なガールズバーばかり。表沙汰になれば何かと面倒で、警察に被害届を出しにくい店が狙われていますね。今の宗右衛門町は人がいないから、何かやったら目立ちそうなものですが、手際がいいのか、そんな気配が感じられません。監視カメラの死角をしっかり突いていますし、あれは素人の仕事じゃないですね」(道頓堀の案内所関係者)
長らく陰を潜めていたプロの窃盗団か、あるいは小遣い稼ぎのハングレの仕業か…。事態の全容はまだ分からないが、地元の古老がこうつぶやいた。
「昔ならこういうときは、地巡りの(ヤクザの)出番やったけどな」
暴対法が整備された今では、彼らの出番は少ない。地元では店舗関係者を中心に「自警団を」との声も。また警察関係も事態の推移に注目し、職務質問のみならず、パトロール強化に乗り出す構えだ。