「予算が2〜3倍に膨れ上がっているんです。このままだと、潰れてしまう制作会社が出てきますよ」
ドラマ関係者を悩ませているのが、撮影スタジオやロケ地の確保だという。
「この時期、どこのテレビ局も4月期ドラマ撮影の真っ最中です。当初、制作サイドはスタジオ収録を行う予定でしたが、感染を心配する局上層部や出演者サイドから、リスクの少ない外でのロケをオーダーされるわけです。都内近郊のロケ場所は限られている。当然、バッティングし、スケジュールの奪い合いに発展するんです」(ドラマ関係者)
さらに、外ロケで一番、重宝されるのがマスクの存在。出演者の分はもちろんのこと、制作スタッフ、果てはエキストラのマスクまで確保しなければならないのだ。
「マスクはいまや、なかなか手に入らない。結果、ネットなどで、どんなに高額でも購入せざるを得ないんです。この負担分は、すべて制作会社持ちです。優秀なプロデューサーは、マスクを確保できるかどうかで評価に繋がってくるという不思議な現象が起きています」(同)
そうした中、各局が苦肉の策として考案したのが、局内での撮影という。
「一般社員や営業関係の客が比較的少ない土日に、集中してロケを敢行するんです。エキストラは局員。でも、容姿や年齢、スタイルも重要になるため、ドラマ関係者が人事のファイルを見ての指名が始まっています。会議室や食堂、階段、廊下などを駆使すれば、大抵の作品は出来上がる。外が必要な場合は、屋上や敷地内でやる。感染を防止することができれば、予算を抑えることもできるからです」(事情通)
もっとも、
「今後、コロナが収束することなく長引いた場合、ドラマ制作はかなり厳しくなるでしょう。1本3〜4000万円前後の予算が、3倍になるんです。もう支え切れない」(編成関係者)
もはや、開催が怪しくなってきた東京五輪。民放テレビ局は、ますますジリ貧になるばかりだ。