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山口組vs新型コロナウイルス 定例会中止、高性能マスク着用

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提供:週刊実話

 中国・武漢市から広まった新型コロナウイルスは、中国国内で2000人以上の命を奪うにとどまらず、世界で猛威を振るっている。日本国内では大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客や、武漢からの帰国者など838人の感染が確認され、80代の男女2人が死亡。また、厚生労働省はクルーズ船に乗っていた別の80代男性が、肺炎で亡くなったと発表した。

 しかし、感染拡大は止まらず、さらなる感染を回避するため、2月23日の天皇誕生日に予定されていた一般参賀が中止。3月1日に開催される東京マラソンも、一般ランナー3万8000人の参加を取りやめるなど、各種行事にまで影響が出ている。使い捨てマスクの品切れが相次ぎ、約30人の感染が確認された東京都内では、ドラッグストアが入荷時間を告知すると客が長蛇の列を作り、わずか数分で完売するほどだ。

 こうした新型コロナウイルスの脅威は、意外なところにも及んでいる。血の分裂抗争を繰り広げる山口組でも、感染防止の対策が行われていたのだ。

 岡山県で、六代目山口組の最高幹部と親戚団体トップとの兄弟盃が執り行われた2月16日、本誌取材班はJR岡山駅から帰途に就く、六代目山口組・髙山清司若頭の姿をキャッチ。全国から駆け付けたマル暴の捜査員が、改札内を埋め尽くす異様な光景とともに、六代目山口組一行の通常とは違う様子が目を引いたのである。

「髙山若頭本人はもちろん、同行する最高幹部や秘書、ガード組員に至るまでマスクを着用していました。これまで取材してきた中で、顔バレなどを嫌う一部の組員が着用することはありましたが、今回は明らかに新型コロナウイルスの影響でしょう」(カメラマン)

 しかも、髙山若頭が着用していたマスクが通常のものとは違い、警察関係者の間でも話題になったという。

「形状や生地の滑らかさから、普通の使い捨てと違うのが分かった。わざわざ表面に日の丸の国旗が付いていて、日本製という意味を強調しているのか、視察とは別に注目してしまった」(捜査関係者)

 実はこのマスク、フィギュアスケート選手の羽生結弦が使ったことで一躍話題となり、アスリートたちがこぞって着用した高性能かつ“超高級”な逸品なのだ。

 加工販売元のホームページによると、花粉からウイルス、PM2.5(微小粒子状物質)、さらに放射性物質すらも除去する特殊構造の高機能フィルターを採用し、値段は1枚で1万3200円。現在は生産が追いつかず、数カ月待ちだという。

「髙山若頭は国が難病指定する持病を抱えとるし、年齢も72歳や。昨年10月に出所して以降、だいぶ体重が増えて健康そのものやが、髙山若頭の本拠地、愛知県内でも新型コロナウイルスの感染者が出とるしな。山口組分裂抗争の指揮官が倒れるわけにはいかんから、万全の対策をとっとるんやないか」(ヤクザ専門記者)

 それは、六代目山口組の中核組織である三代目弘道会トップ・竹内照明会長も同様だった。儀式当日、マスクを着用したガード組員らを従え、岡山駅をあとにする姿が見られたのだ。

 さらに、件のクルーズ船が停泊した神奈川県や、都道府県別で最も多くの感染者が確認されている東京都を含む関東地方のヤクザ組織では、感染防止策が徹底されているという。

 六代目山口組の関東ブロック会議が都内で開かれた際、ホスト側の組織では組員全員がマスクを着用し、消毒液を常備。親分を乗せた車両が到着し、車から降りるやいなや消毒液が差し出されていた。

「各所で、そういう対策が当たり前になっている。通達こそ出ていないが、事務所に入る際には手の消毒、マスク着用が欠かせない。会合や来客の出迎えなんかは本来ならばマスクを取るが、今は逆に着用が義務付けられている」(二次団体組員)

 また、他の地方に本拠を置く組織でも、組員らは意識して予防に努めている。

「極力、個人的な外出は控えて、人混みにも行かないようにした。自分が感染することで、親分にまで迷惑を掛けたくないからね」(三次団体幹部)

 一方で、ヤクザらしいといえる意見も…。

「休みなんて、1年を通してインフルエンザで寝込んだ2日間くらいだったよ。年末は特に忙しいから不眠不休でさ、過労で倒れたって点滴打ったら、すぐ事務所に戻って仕事。それが今は咳き込んだだけで、周囲が『少し休んでください』って心配してくれるんだから、笑っちゃうよね」(三次団体組長)

 新型コロナウイルスの蔓延は深刻化しており、ヤクザ業界内でも関東最大組織の住吉会が、今年初めて開かれるはずだった2月20日の定例会を中止。トップの関功会長や最高幹部ら約300人が一堂に会するとあって、感染のリスクを危惧したようだ。当日、開催場所である埼玉県日高市内の関連施設に人の気配はなく、重厚な鉄製の門扉が開かれることはなかった。

「六代目山口組では特定抗争指定の以前から全体の定例会を休止しているが、今後は新型コロナの影響で、直系組織の定例会も中止するところが出てくるんじゃないか。だからといって、組織運営に支障が出るわけじゃないが、分裂抗争とは違った緊迫感があるよ…」(前出・三次団体幹部)

 ただ、ヤクザ業界では、自己防衛に徹しているわけではないようだ。

 というのも、平成21年に新型インフルエンザが流行した際、山口組では全国で15万枚以上のマスクを調達し、幼稚園や高齢者施設などに配布。こうしたボランティア活動は昔から行われており、田岡一雄三代目時代の昭和39年6月に起きた新潟地震では、トラック2台分の食料や衣料を被災地に送った。さらに、翌7月に山陰地方を豪雨が襲った際も、米50俵、梅干し30樽、味噌20樽を載せたトラックが被災地に向かった。

 渡辺芳則五代目時代には阪神・淡路大震災が発生。総本部前で水や生活物資を供給し、現在の司忍六代目も公園の屋台村で炊き出しをするなど、精力的に活動したのである。

「任俠精神を重んじる彼らにとっては、自然な流れだったはずだ。“暴力団の点数稼ぎ”などと言われかねないため、あえて口にしないだけで、今回も何らかの支援を行っているのではないか」(山口組ウオッチャー)

 ヤクザVS新型コロナウイルスの闘いは、しばらく続きそうだ――。

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