携帯電話・メール・無線・FAXといった通信情報を盗聴し、音声をテキスト化しデータベースに蓄積。その蓄積データから、「アルカイダ」「テロ」といった特定のキーワードを検索し、情報発信者を特定できると言われている。
米国内では国家安全保障局(NSA)主体で運営されており、長らくその存在が“都市伝説”的に語られてきたが、昨今欧州議会でも話題にされ、国家安全保障局(NSA)のOBもカミングアウトし始め、ようやくその存在が認知されるようになってきた。
日本でも三沢基地に関連の施設があると言われてきたが、筆者も含めあくまで都市伝説に過ぎないと思う者が大部分であった。だが、2011年9月10日フジテレビで放送された『池上彰緊急スペシャル 世界が変わった日』の中で、実際に構築されている軍事システムとして紹介された。しかも、青森県の三沢基地にエシュロンの関連施設があると具体的に説明がなされたのだ。
保守的な日本のメディアとしては画期的なことだが、このエシュロンは海外では盛んに議論されている。欧州議会には「エシュロン通信傍受システムに関する特別委員会」があり、産業スパイの可能性やプライバシー侵害に関して言及がなされている。またEUは、1100万ユーロ(約15億円)という資金を投じて、エシュロンの盗聴から情報を守る量子暗号の研究を開始しているとされており、世界でエシュロンは“単なる夢物語”ではなく“実際にある情報戦争”と解釈されている場合が多い。
一方で欧州でもエシュロンに対抗する盗聴システムを構築中だという説があり、世界は一気に情報ウォーズの時代に突入しそうである。
日本でも、野田内閣の枝野幸男氏がこの「エシュロン」問題に関心を示しており、2000年7月、エシュロン問題に詳しいジャーナリスト、ダンカン・キャンベル氏が来日し、参議院会館で勉強会が開かれた時に参加しているのだ。国家の情報的防衛に関わる内容だけに、同盟国のアメリカと言えども、今後何らかのライン引きが必要かもしれない。
(山口敏太郎)
資料引用
山口敏太郎のサイバーアトランティア
http://foomii.com/00015