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「お祭り」のメインを飾ったのはやはり「闘い」であった。8.22、トリプルテイルズ自主興行『けもの祭』に詰めかけた380名の観客がすべてを見ていた!

 華名、紫雷美央、紫雷イオのユニットである「トリプルテイルズ」。
 結成後初の自主興行となった8月22日、新木場1stRingで行われた『けもの祭』には、380名超満員札止めの観客が集まり、熱戦に大歓声を送っていた。
 試合開始前、リングに上がったテイルズの三人は、浴衣姿で観客に挨拶。事前に言っていた通り「夏祭り」というコンセプトのもと、試合が開始される。

 メインイベントはトリプルテイルズvs.東京愚連隊の6人タッグマッチ。
 60分3本勝負という試合形式は、今までの考えからすると「女子選手にとってはあまりにも過酷過ぎる試合」であっただろう。ところが華名は、「プロレスに男性も女性も関係ないと思っている。男性とどういう試合をするか、そこを見てほしい」と告げている。まったく恐れを感じていないどころか、今までの「女子プロレス」の概念を粉砕し、新しいものに組み替えようとしている。
 「ギャラクシー・エクスプレス」のテーマ曲に乗って先に入場する東京愚連隊に続いて、オーバーマスクを被ったトリプルテイルズが入場。館内の興奮もヒートアップする。
 一本目、先発はFUJITAと華名。アームホイップから強烈なサッカーボールキックを叩き込む華名。
 代わってKIKUZAWAと美央。体格や体力はさすがにKIKUZAWAが上だったが、機動力で反撃する美央。
 そしてNOSAWA論外とイオ。手四つの体勢から力で勝るNOSAWA、だがマトリックスからの回転エビ固めという変則的な動きを見せるイオ。
 イオがローンバトルを強いられる。次々と愚連隊の連携や個々の攻撃に苦しむが、何とか美央にタッチ。
 美央・華名の怒濤の反撃。しかし東京愚連隊も、ダテに世界を渡り歩いてきたわけではない。ペースを奪われそうになるとインサイドワークで引き戻す。
 コーナーのKIKUZAWAに向かって華名がダッシュ。逆にパワースラムで叩きつけ、髪の毛を掴んで華名を立ち上がらせようとした瞬間、華名のハイキックがKIKUZAWAを襲った。
 クラッときたKIKUZAWAを華名がスクールボーイで丸め込む。いきなり男女の壁を叩き壊し、3カウントを奪ってみせたのだ!

 二本目、追い込まれる立場となってしまった愚連隊。NOSAWAが華名のスタイルに対抗し意表を突こうとするが、逆にテイルズに捕まりローンバトルとなってしまう。華名の逆十字、美央の胴絞めスリーパーに耐えたNOSAWA。イオがフライングメイヤーで投げようとするが意地で投げさせず、スリーパーからパイルドライバー。
 ダウンするイオ、ようやくペースを取り戻した愚連隊が反撃。だが負けちゃいられないテイルズはKIKUZAWAのラリアットをかわすとトリプルドロップキック。
 勢いに乗り始めたテイルズだが、ここでKIKUZAWAのインサイドワークが光る。華名と美央を同時にダウンさせると、イオのスワンダイブ式ミサイルキックを対空ドロップキックで叩き落とす。
 強烈なバックドロップからジャンピング・パワーボムでKIKUZAWAがイオを捕えてタイスコアに持ち込む。

 三本目、ダメージの大きいイオに、いきなりスーパーパワーボムを決める愚連隊。
 美央が強引に自軍コーナーにイオを引きずってタッチ、両チームともに最後の一本を取ろうと、一進一退の攻防を見せる。
 「男だったらタマ潰す」と公言していた美央、FUJITAの急所を正面から蹴り上げるなど気の強いところを見せたが、SAYONARA、サスケだましセグウェイと、FUJITAの二大必殺技をまともに食らって仕留められた。

 自分たちの自主興行を白星で飾れなかったテイルズだが、愚連隊が三人並んで正座をし「もう一度お願いします」と礼をさせたのは立派。それだけ愚連隊がテイルズを、いや、男性レスラーがテイルズを認めた瞬間であった。
 試合後、紫雷姉妹は自分たちの不甲斐なさを悔やみ、メキシコ『AAA』への武者修行に出ることを宣言。テイルズとしての活動は少々お休みとなるが、華名にテイルズを、女子プロレスを守ってほしいと願った。
 「盛大な悪ふざけをする」と言っていたイオは、試合が終わって涙に暮れた。
 イオに泣くなと告げた美央は「喜びの涙に変えてみます」と力強くアピール。
 そんな二人を見て、華名は頼もしそうに見つめながら「こんな女子レスラーはいない」と語る。
 観客は「次に三人が揃う時、何を魅せてくれるのか楽しみ」とばかりに、大きな拍手で送り出した。

 『けもの祭』のトリは、やはり「闘い」であった。
 女子レスラーとしての闘い、プロレス界に対する闘い、世間一般に対する闘い。
 闘いの後で生まれるものは、新しい道。かつてベルリンの壁が崩壊した時の如く、プロレス界の厚くて高い壁をぶち壊そうとしているトリプルテイルズの三人。
 海を越えた遥かな異国に、己を磨くため旅立つ紫雷姉妹。壁の亀裂を塞がせまいと誓う華名。
 お互いに誓い合った絆は強く、そして太い。三本の尻尾が「九尾の狐」の如く、力強く、逞しく振りかざされる日は、そう遠くないのかも知れない。
(Office S.A.D. 果野巌(はたしの・いわお))

◆トリプルテイルズ自主興行『けもの祭』
2010年8月22日(日)
会場:新木場1stRing(観客380名=超満員札止め)

<メインイベント「〜トリプルテイルズvs.東京愚連隊〜」6人タッグマッチ 60分3本勝負>
○NOSAWA論外&KIKUZAWA&FUJITA(2-1)●華名&紫雷美央&紫雷イオ
 (一本目)○華名(10分55秒 スクールボーイ)●KIKUZAWA
 (二本目)○KIKUZAWA(26分13秒 エビ固め)●紫雷イオ ※ジャンピング・パワーボム
 (三本目)○FUJITA(32分33秒 片エビ固め)●紫雷美央 ※サスケだましセグウェイ

<セミファイナル「〜恥ずかし固めvs.SEX BOMBER〜」シングルマッチ 30分1本勝負>
○宮崎有妃【NEO】(8分34秒 レフェリーストップ)忍【666】
※宮崎のサポーター一枚になってしまった忍への恥ずかし固めでレフェリーのTommyもギブアップ

<第3試合「イケメン3WAYマッチ」30分1本勝負>
○黒田哲弘【華名推薦イケメン】(9分52秒 サムソンクラッチ)●円華【紫雷美央推薦イケメン】
※もう一人はウルトラマンロビン【紫雷イオ推薦イケメン】

<第2試合 シングルマッチ 20分1本勝負>
▲怨霊【666】(12分09秒 両者リングアウト)▲政宗【大阪プロレス】

<第1試合 タッグマッチ 20分1本勝負>
○ヘイリー・ヘイトレッド&羽沙羅(10分42秒 片エビ固め)勇気彩【NEO】&●アップルみゆき
※リストクラッチ式バックドロップ

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