アントニオ猪木(猪) おう、久しぶりだな。6月の内外のイベント以来か。
田 あのときはありがとうございました。猪木さんの「闘魂注入」のおかげで、最近仕事がだいぶ増えてきまして。ご利益があるとは聞いてましたけど、あの日以来、本当に運気が上昇した気がしてます。
猪 まあ、おまえはもう、復活してしかるべきときに来ていたってことなんだ。オレのビンタを受けた人は必ず運気が上がるってウワサだけどなな。
田 仕事もそうですけど、疎遠になってた息子にも「父ちゃん猪木さんのビンタいいなあ」なんて言われてうれしくて…。記者さん(本紙記者の方を振り返り)、オレがどれだけ猪木さんのこと好きか知ってる? もしね、猪木さんにそのケがあって、オレのことを気に入ってくれたなら、オレはいつでも尻を差し出す覚悟があるんですよ。こんな風に思える人ってあとは高倉健さんぐらいだなあ。
猪 やめておけよ。それよりおまえ最近、“後輩”がいっぱいできただろう。薬物関係の。
田 …酒井さんとか押尾さんのことですか。いやあ、おかげでまたオレの事件が取りざたされて困っちゃってます。昔、のりピーがデビューしたばかりのころ、寝起きレポートってあるじゃないですか。仕事であれ、やったんですよ。そしたら、そのときの映像が「奇跡の2ショット」なんつってユーチューブにアップされてて。本当にもう、勘弁してほしいです…。
猪 何言ってんだよ、おまえ。チャンスじゃねえか。例えばな、オレはクスリってやったことないから使ったときどれだけ気持ちいいのかが分からない。でもおまえはその気持ち良さを知った上でキッパリ止めた。今テレビでは四六時中、常識ぶったコメンテーターが「薬物は危険ですから止めましょう」なんて言ってるけど、おまえが言った方がどれだけ効果的か。経験者の言葉は重さが全然違うんだ。
田 そ、そうですね。酒井さんとは仕事で何回かご一緒したことがあって、本当に性格のいいコでした。だからオレは今、彼女にこの言葉を贈りたいと思っています。「この道を行けばどうなるものか。危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。迷わず行けよ、行けば分かるさ」
猪 …オレの詩じゃねえか。
田 そうですよ。オレ刑務所でもずっと猪木さんの本読んで、心にしみて。こっちに戻ってからもこの詩を支えに頑張ってきましたから。だから酒井さんにも「臆せず新しい一歩を踏み出そうよ」って言ってあげたいんです。
猪 そうか。じゃあもっと多くの人に伝えてやれ。おまえは歌手なんだから「麻薬撲滅の歌」をつくれよ。いや、今度の総選挙で「日本麻薬撲滅党」を結成して、出馬したらどうだ。もちろんおまえが党首でな。酒井さんと、あと押尾とかいう小僧も将来的に引き入れて、日本のために頑張っていけばいいじゃないか。
田 いやでも、そんなことしたら逆にオレが撲滅されちゃう危険性が…。「田代のやつ調子に乗りやがって」って、ネットで袋叩きに遭うのがオチですから。
猪 バカヤロー! 何書かれたって見なきゃいいんだよ。オレなんかネットどころか新聞も読まないから、何書かれたって平気だよ。悪口を書く人間にとって何が悔しいかって、自分の文章を見てもらえないことなんだ。だから全部無視。逆に言えばオレに関しては何を書いてもいいってね。
田 政界進出といえば猪木さんはどうなんですか。オレなんかが出しゃばるより、猪木さんみたいな人に日本を変えてほしいですよ。
猪 オレか? なんかオレも出馬のウワサがあるみたいだけど、今回は物理的に無理。でも「一寸先はハプニング」だから、何が起こるかまだまだ分からねえぜ。とにかくそっちも爆弾の一つでもかましてみるのも面白いっての!!
田 今日は本当にありがとうございました。心が折れそうな時また会っていただけませんか。
猪 いつでも来いよ。ただこれだけは言っておくぞ。オレだってスキャンダルはいっぱいあったけど、それを勲章にして生きていかなくてどうすんだよ。
田 分かりました!