阪神の森下翔太はオールスター以降、後半戦でクリーンナップに定着し、高い打撃力を発揮している。広角に打ち分ける技術や、ここ一番での勝負強さも見せつけており、首位を快走するチームを力強く支える存在だ。
ドラフト1位ルーキーとして、今季は「6番・ライト」で開幕スタメンの座を勝ち取った。その後、ファーム行きも経験するも、6月に今季二度目の昇格を果たすと、その後は一軍に定着。さらにその打撃に磨きをかけ、好結果を残し続けることに。開幕時同様、クリーンナップの後ろの6番を打つ試合が多かった中、7月には負傷離脱となった近本光司に代わり、リードオフマンとしても起用されており、さらに7月25日、甲子園での巨人戦からは3番に座った。オールスター明けからは6試合連続安打をマーク、試合を決定付ける一打を放つなど、連日のように好パフォーマンスを見せた。
森下が中軸を担うようになり、チームも上昇気流に乗った。7月中旬までは2連敗、3連敗と黒星が続いていたものの、球宴以降からは一気に勝ち星が増え、8月に入ると破竹の10連勝も記録。森下も月間打率が3割を大きく超えており、「長期ロード」の戦いでさらに勢いを増している。
また、首位争いのライバル、広島に対し、森下が好成績を残していることも、優勝争いを演じる上で大きな強みだ。今季の広島戦での打率が.361(8月16日終了時)と高い数字をマークしており、7月28日、甲子園での同カードではプロ初となる1試合4安打も記録。さらに、8月15日の広島戦でも自身2度目の4安打と相性の良さを印象付けている。
夏場を迎え、主力打者の不振が目立つ中でも、大差をつけて首位を走るチームの原動力となっている森下。8月16日の広島戦では不調が続く佐藤輝明に代わり、初めて5番も任せられている。チーム事情により、多くの打順を経験することとなり、同時に、首脳陣からの信頼も増している証拠とも言えるだろう。
ペナントレースも終盤戦に差し掛かろうとしている現在、すでに森下は阪神打線に欠くことのできない打者にまで成長を遂げた。リーグ制覇の可能性も高まってきている中、背番号1はその高い打撃力でさらに人々の記憶に残るルーキーシーズンを送ることになりそうだ。(佐藤文孝)