試合後のオンライン会見では、「ワクワクする気持ちはありましたし、その中で抑えられなかったのは悔しい」と語っていたが、表情は明るかった。まだ試運転の段階であり、結果を気にする時ではないと捉えていたようだ。
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同日のほぼ同じ時間帯だった。ボストンレッドソックスの澤村拓一投手がチームに合流した。初日ということもあり、練習はキャッチボールなど軽めなもの。しかし、今季より新しくなったMLB公式球に違和感を持っていたようだ。
「澤村は遠投の際、狙ったところよりもボールが遠くに行きそうになりました」(現地記者)
同日の有原の投球も、全体的に高めに浮いていたように見受けられた。新公式球の影響ではないだろうか。
米スポーツメディア「ジ・アスレチックス」によれば(2月8日付)、新公式球はボール内部の材質、構造を変え、2・8グラムほど軽量化されたという。その目的は本塁打量産の現状を改めるためだ。
「前カブス編成本部長のテオ・エプスタイン氏がコミッショナー付のコンサルタントとなり、提案されました。ホームランばかりの大味な今の野球スタイルを変えなければ、ファンは離れてしまう、と。その新公式球なんですが、触っただけだと、軽くなったのかどうか分かりません。でも、実際に投げてみると『変わったんだな』って分かります。軽くなった分、素人のキャッチボールでも、イマイチ力が伝わっていないというか」(米国人ライター)
少し前から、メジャーリーグでは「フライボール革命」なる言葉が使われ、飛距離を争うようなアッパースイングも定着した。「力が伝わらない」は個人の感想だが、ボールが軽くなったことで「打球の飛距離が落ち、リーグ総本塁打数も10%弱減少する」とも予想されている。
とは言え、今回のボール変更は必ずしも“投手有利”とはならないようだ。
「ボールが軽くなった分、剛速球のボールの威力で勝負するタイプの投手は苦労しそうです。ボールの変更は2月に入ってから各球団に通達されました」(前出・同)
準備不足は他の米投手も同じだが、特に澤村は豪腕投手で鳴らしてきた。それを評価されての米球界移籍であり、ボールが軽くなれば、直球の威力も減ってしまう。
慣れれば解消されるはずが、こんな指摘も聞かれた。
「澤村は2013年の第3回WBCメンバーに選ばれた際、MLB公式球に馴染めず、制球に苦しんでいました。何事も時間が掛かるタイプなんです。米挑戦も突然だったので、きちんと準備ができていたのかどうか…」
当時を知る日本のプロ野球解説者の言葉だ。
有原は変化球も多彩で器用なタイプだが、澤村は違う。就労ビザの関係でチーム合流もこの時期になってしまった。この出遅れが、ちょっと気になる。(スポーツライター・飯山満)