「まずシルバー層を狙って石坂浩二、次は舘ひろしで購買層を50代まで広げた」(大手広告代理店幹部)
そして、インパクトのある“あのCM”となる。渡辺謙と菊川怜だ。渡辺に「老眼鏡ではなく拡大鏡」であることをアピールさせ、購買層は40代〜30代にまで浸透した。今の小泉孝太郎と武井咲は20代をターゲットにしている。
「できあがったのは完全に私の作品です」と言い切る。全てのリスクは俺が取るからと、菊川怜の衣装も全て指定し、総監督、監督、プロデューサーをすべてやってのけた。
「松村氏は100億円以上の広告宣伝費を投入し、ハズキルーペのブランド化に成功した」(経済担当記者)
松村氏は成蹊大学卒業後、本場アメリカの“ハゲタカ”ファンドで修業して帰国。1997年にファンド会社を立ち上げ、現在の『プリヴェ企業再生グループ』へ急成長させた。
「松村氏が真っ先に目を付けたのが、カルロス・ゴーン体制下の日産自動車です。三河日産自動車と静岡日産自動車を買収し、整備統合したうえで売却。ボロ儲けした。次に富士通から東証2部の神田通信工業を買収。“らくらくホン”と呼ばれる高齢者向けの携帯電話を製造し、850万台の大ヒット商品となった」(同)
大手玩具メーカーのタカラとトミー合併後には子会社5社を買収、その中にハズキルーペの元となる製品があったのだ。
「玩具工場でハズキルーペは、細かい手作業をする職人用のグラスルーペに使用されていたんです。松村氏は職人が使っていた眼鏡型グラスルーぺが使えると判断し、商品化したんです」(商品開発クリエーター)
1本約1万円のハズキルーペは500万本を突破。単純計算で売上は500億円だ。
企業を安く買い叩き、再生してきた和製ハゲタカの眼力や恐るべしだが、将来は事業家としてではなく、企業買収家として最後に名を残したいという。「小さすぎて見えなぁい!」どころか、松村氏の野望は「大きすぎて見えなぁい!」。