大型連休前の4月21日、スポーツ新聞の片隅で〈女子国別対抗戦『フェドカップ』プレーオフ(入れ替え戦)で日本がオランダに勝利〉こんな一報が伝えられた。苦戦が続き、3部降格の危機に陥っていた日本の代表選手団が、2部残留を決めたという喜ばしい報道なのだが、この小さな記事に“東京五輪の命運”が秘められているという。
「日本は、この入れ替え戦を戦うにあたり、世界ランキング1位の大坂なおみ(21)に代表チーム入りを打診したが、断られたんです」(スポーツ紙記者)
実は、プロテニス選手がオリンピックに出場するには、五輪と五輪の間の4年間で、国別対抗戦に3回出場しなければならないという条件をクリアする必要がある。しかも、そのうち1回は「次の五輪開催からさかのぼって1年以内の大会」と定められているのだ。
「大坂は'17年2月と'18年4月に日本代表としてプレーしていますが、東京五輪前の1年以内に必要な“あと1回”が足らない状況です」(専門誌記者)
その対象となる期間は、今年6月以降となる。東京五輪に出場するための条件にカウントされない4月だったことも、今回の辞退につながったのか。
「大坂は4大タイトルに照準を合わせた年間スケジュールを組んでおり、他の大きな国際大会には半ば強制的に出場させられているような状態なんです」(同)
賞金とランキングを争うのがプロ選手だ。大阪が代表入りを辞退した理由は「個人の大会を優先したい」というもので、プロとしては当然だが、日本は3部降格の危機に直面していた。そのため、今回の大坂の選択にガッカリさせられた国内関係者は少なくない。
「いまだ東京五輪に出場するための“あと1回”は確約されていません。東京五輪に出たとしても、全仏、全英を戦って、五輪終了直後の8月に全米を戦うことになりますからね。プロとしては難しい選択と言わざるを得ない」
日本のエースとして東京五輪に欠かせない存在だが、大坂が米国代表としてオリンピックに出ることはあり得ない。なぜなら先ほども言ったように、東京五輪に出場する条件として「フェドカップ」(国別対抗戦)に19年から20年6月8日までの間に原則3試合に出場しなければならず、直近3年以内に国の代表を背負った選手は他国の代表になれないというルールが存在する。大坂は昨年4月のフェドカップで日の丸を背負っており、東京五輪には日本代表で出場するのは既定路線とみられているのだが、とにかく“あと1回”…だ。