「北朝鮮が粛清した人物を映像や写真から消し去るのはよくあることです。叔父の張成沢は拘束後、体どころかすべての功績や痕跡まで消され、今では存在すらしていないことになっています。また正恩氏の母、高英姫が亡くなった後、金正日総書記の後妻となった金玉(キム・オク)は、秘書活動していた時代の画像や写真から消去されています。その理由は、正日夫人となったことで、画像で見ることが恐れ多いという判断からです」(北朝鮮ウオッチャー)
問題の動画は、北朝鮮の対南機関である祖国平和統一委員会(祖平統)が運営する宣伝メディア「わが民族同士」が北朝鮮の政権樹立日(9月9日)に制作したもので、「奇跡と繁栄の宝剣」というタイトルが付けられている。
「文大統領は、昨年だけで3回も首脳会談を行っています。中でも『6・30南北米板門店会合』の部分では、いなければならない文氏の姿はなく、4枚の正恩委員長とトランプ大統領が会っている写真だけが紹介されており、文氏はすべて削除されています。しかもこの動画には、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、シンガポールのリー・シェンロン首相、ベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長と会った写真は次々と紹介されているだけに、あまりに露骨です。北朝鮮が『ハノイ・ノーディール』(今年2月の第2回米朝首脳会談決裂)以降、韓国に対する不信と敵対心をいかにあらわにしているか、文氏の望む南北関係改善の企図に肘鉄を食らわしているかがよく分かります」(韓国ウオッチャー)
韓国統一部(日本の省)は、「韓半島(朝鮮半島)問題の運転者・仲裁者・促進者を自任して南北関係改善にすべてを投入してきた文大統領を、北朝鮮は透明人間として扱った」と非難した。
世界から無視されている文大統領は、すでに透明人間なのだが、統一部の発言は“言い得て妙”である。