『けものみち』(1982年)をはじめ、これまで清張作品に17作出演している名取。「清張作品とは」と問われると、「社会派の作品で、ニュースの裏側・犯罪に至る心理などギリギリの心の動きが書かれています。普通に真面目にきちんと慎ましく生きている人でも、追い詰められたちょっとした分岐点で、罪を犯したり、逃げたりと犯罪者になってしまうことを教えられた。私たちはその中で実際に生きているんだと思いました」と、経験者ならではの回答をした。
さらに、松本清張作品の魅力を聞かれ、「男と女を入れ替えても、作品として成り立つ作品です。時代を超えて、心に残る。声や表情で、心の奥底にあるものが人間として必要だと思います。LINEやメールなど目に見えないものがたくさんあることをつい忘れる現代だからこそ、作品を見て感じてほしいです」と語った。
名取は、初めて清張作品に参加した「けものみち」を通し、「“世の中には裏がある”と考えるきっかけとなった」とも話している。
実際に清張氏の自宅で撮影された「けものみち」。この作品について名取はさらに、「役を“演じる・役を生きる”ということが『演技』だと教わりました」と振り返った。
また、これまで出演した作品の中で、特に印象深いものとして「けものみち」「指」「彩り河」などを挙げていた。
記念展は5月26日〜5月31日にかけて開催。AXNミステリーチャンネルでは、「松本清張生誕110年記念特集」として5月と6月に一挙放送中だ。