プロ野球は前半戦を終了。セ・リーグでは巨人が貯金を17に増やし、2位の阪神、横浜DeNAに9.5ゲーム差をつけ、ぶっちぎりの独走態勢に入った(7月14日現在)。セ・リーグで貯金があるのは巨人だけで、ナベツネさんも全国のファンも笑いが止まらない状況だ。
このプロ野球全盛期を彷彿させる“人気球団復活”の構図に、「好機到来」とすぐさま反応したのが三木谷氏。狙いは、長年の懸案だったスポーツ振興くじ「toto」のプロ野球を対象とした「プロ野球くじ」の実施にある。
その三木谷氏は、7月3日に開かれたプロ野球のオーナー会議に、約2年半ぶりに出席。そこで「まだまだマネタイズ(収益化)できていないサービスのチャンスもある」と訴え、「プロ野球の売り上げ3倍化計画」を打ち出したのだ。
5月15日のオーナー懇話会で議題に上がった野球振興、地域振興策の具体策を検討する「オーナー小委員会」設置を決め、プロ野球くじ実施へ本腰を入れるという。
小委員会は斉藤惇コミッショナーと三木谷議長、巨人、阪神、オリックスのオーナーで構成。プロ野球くじ推進派で固め、東京五輪でスポーツ人気が頂点を迎える来年国会で、議員立法での関連法の提出を球界の総意として支援していく。
「スポーツくじtoto・BIGの2018年度の売上は約948億円。これにプロ野球が加われば、2倍増も可能です。成功すれば、大相撲での実施にも繋げられます。三木谷氏が会長を務める楽天銀行は、totoを扱っており、二重のメリットが見込めるでしょう」(国会議員秘書)
この野球くじ導入に、首位巨人も前向きだ。数年前、所属選手が「野球賭博」で失格選手を出したことで自粛方針だったが、すでに問題は解決済み。原辰徳監督を迎えてチームが絶好調にあることから、方向を転換したのだ。今季からDAZNで巨人戦のネット中継を始めるなど、実施へ向けた環境を整えている。
2017年、DAZNがJリーグと結んだ契約金は“10年総額2100億円”。プロ野球が球団の個別契約でなく、セットで契約すれば、同額としても1球団当たり年額17億5000万円が入る計算だ。そうなれば、これまで親会社が所有する球団に赤字補填していた年額負担分が解消する。
巨人にとってもテレビ視聴率のアップが期待でき、メリットは十分にある。