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出産コスト0円、医療費もタダ同然 ドイツで過去最高レベルのベビーブームが来ているワケ

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 日本では妊娠すると、妊婦検診に加え、出産費用や入院費用に健康保険が適用されず、実費で払わなければならないデメリットがある。金銭的な負担が大きいことも影響したのか、厚生労働省の報告によると2018年の日本の出生数は、過去最少を更新したそうだ。しかしベビーブームのドイツでは、2018年の出生率が43年ぶりの高水準を記録した。出産に関して、日本とはどのような違いがあるのだろうか。

 まず、ドイツで出産する最大の特徴の一つは医療費がほぼタダということだろう。日本の場合、検診のたびに5000円近く支払わなければならないが、ドイツは全て保険でカバーされるため、毎回の支払いはほとんどない。保険適用外の血液検査などを頼む場合のみ20ユーロ(約2400円)から50ユーロ(約6100円)程度の医療費を負担するが、妊娠中に1〜2回程度で、大きな金額になることはない。

 さらに出産費用もかからず、自然分娩はもちろん、無痛分娩も水中分娩もタダなのだ。日本の場合、地域によっていくらか補助金が出るが、補助金を使わなければ無痛分娩には80万円近いコストがかかる。ドイツは無痛分娩を選択する人が多いが、金銭的に負担がないという面も大きいのだろう。

 また、産後の制度が整っている点もドイツは日本と異なると言えるだろう。ドイツでは夫婦で最大24カ月の育休が取得でき、最近は男性が育休を取得するケースも多い。一度に長期間の育休を取らなくても、何回かに分けて取ることができ、時短勤務を選択することも可能だ。

 ただし、ドイツは検診を受ける病院と出産をする病院がそれぞれ違うのだが、いずれの病院も見つけるのが困難だ。医療費がかからない分、病院側が患者を受け入れない場合が多く、初診の場合「うちはもういっぱいだから」と断られることが多い。何十件と病院に電話をしてやっと見つけられるというケースがほとんどだ。評判のいい病院や近所の病院など、自分が希望する病院に行けることは少ない。

 また、ドイツでは出産後、平均3日ほどで自宅に帰されるため、その後は助産師が自宅まで行き、ケアをするシステムになっている。しかし昨今、移民の増加に伴い、助産師の数が不足していて、見つけられないケースが多い。

 そこで、ドイツでは妊娠が分かると、助産師を紹介しているサイトなどから手当たり次第に連絡をし、助産師に出産後のケアを頼むのが一般的だ。しかし、すぐに動いたとしても、助産師が少ない地域では見つからないということもある。見つからない場合は諦めて、産後の自身のケアもしながら、生まれて間もない赤ちゃんの面倒を見るしかない。この現状に対しては現地でも「妊娠後はリラックスしたいのにすぐにストレスとなる助産師探しがやってくる」「助産師探しに時間を割きたくない」という不満の声が挙がっている。

 州によっては、助産師が常駐しているセンターを作り、そこで妊婦を受け入れて助産師不足を解消していたり、固定の助産師ではなく、毎回違う人が対応することで助産師不足を補うなどの対策をしているようだ。だが、まだまだ助産師が足りていないというのが現状である。

 医療費がかからず、会社も妊娠・出産に優しい環境なのはドイツで出産するメリットだ。しかし皮肉にも、医療費がかからないゆえ、病院が見つかりにくいなど、苦労することも多々あるようだ。

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