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元阪神・榎田が「恩返し」 金本監督の非情采配に掛布氏が苦言

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金本知憲

 不思議な巡り合わせである。6月3日のプロ野球交流戦で、埼玉西武と阪神が対戦した。グラウンドのなかで「人間交差点」といった雰囲気だった。
「地上波TV放送の解説を掛布雅之氏が務めるのは、試合当日に知ったみたい。先発投手、DH制を使った変則オーダー、相手チームのこと、金本(知憲=50)監督は色々な意味でモヤモヤしたものを抱えていたのでは」(ベテラン記者)
 埼玉西武の先発は、元阪神・榎田大樹(31)だった。故障などもあったが、榎田は金本政権でチャンスに恵まれず、今季開幕直前の3月14日に放出トレードされた。左投手を欲していた西武でチャンスをもらい、古巣対決を迎えたわけだが、解説席には二軍時代の恩師、掛布氏が座っていた。しかも、阪神先発が復活を目指す藤浪晋太郎(24)となれば、「古巣時代」を思い出さないはずがない。

 阪神のチーム関係者がこう言う。
「昨季終盤、二軍監督だった掛布氏が一軍に推薦したのが榎田でした。でも、金本監督が使ったのは、日ハムから緊急補強したメンドーサだったんです。同年秋のドラフト会議で左投手が指名されており、榎田は”限界”を感じていたようでした」
 試合は好投で西武が勝利した。昇格を推薦した元二軍監督まで球場にいたとなれば、金本監督もカチンときたはずだ。
 また、藤浪だが、ノーコン病は一時期よりもずっと良くなってきた。5回3分の1を投げ、3四球ならば御の字である。牽制悪送球もあった。しかし、掛布氏は別の見方をしていたという。
「試合終了後、顔見知りの在阪記者と談笑していました。短い時間でしたが、藤浪を交代させたタイミングのことを話していたそうです」(前出・同)

 藤浪は6回、大阪桐蔭時代の一学年後輩で全国制覇を成し遂げたときの女房役、森友哉に四球を与えたところで交代を告げられた。「代打、森」がアナウンスされたとき、阪神、西武の両応援スタンドから拍手が沸き起こった。”大阪桐蔭対決”が実現したからだ。
「走者は一、二塁。阪神バッテリーは打ち損じのゴロで併殺プレーを狙っていました。でも、藤浪がワイルドピッチで走者が一つずつ進塁し、『併殺狙い』の作戦は御破算になってしまいました。阪神バッテリーはこの時点で森を歩かせ、一死満塁で次打者と勝負することを選びました」(前出・同)
 掛布氏も「一死満塁」の作戦変更は分かっていた。大阪桐蔭対決は”水入り”となったが、藤浪が出したこの3つ目の四球は、マイナス点の対象ではないのだが…。
「掛布氏は藤浪を交代させたタイミング、四球を出した直後に交代させたことを心配していました」(ベテラン記者)

 金本監督の無情交代は、藤浪に2つのダメ出しをしたことになるという。まず、一死満塁を乗り切る力がないと通達したのも同じで、作戦とは言え、四球を与えた直後の交代はショックとなり、次の登板にも影響する。おそらく、金本監督は藤浪をこのまま一軍に帯同させる気はないのだろう。
「金本監督の就任が決まった15年オフ、秋季キャンプが行われ、そこで金本監督は『厳しく指導していく』という所信表明もしています。その秋季キャンプ中、金本監督は投手全員に厳命したのは、送りバントの後のことでした。バントを決めてお役御免ではない、一塁まで全力疾走しろ、と。その走塁練習中に故障したのが榎田でした。金本体制になってのリタイア第一号」(球界関係者)
 榎田は一度失った信頼を取り戻せず、新天地でやり直したというわけだ。

 榎田は冷酷な途中交代を告げられた藤浪に、何を思ったのだろうか。勝利投手となった彼への質問は、やはり「古巣相手に」というものが多かった。言葉では嬉しいと伝えたが、「深く聞いてくれるな」といった複雑な表情を見せていた。金本監督、掛布氏、榎田、彼らの目にもがき苦しむ藤浪はどう映ったのだろうか。(スポーツライター・飯山満)

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