H7N9は、2013年に中国で人への感染を確認。昨年には毒性が強い変異株が発見されている。
「新たな変異株の哺乳類への影響を確認するため、同研究所の河岡義裕教授らは、中国の患者から取ったウイルスをマウスやフェレットに感染させた。フェレットの実験では、従来型のH7N9ウイルスを感染させても死ななかったが、変異株では感染させた4匹中2匹が死んだ。さらに、周囲にいた3匹のフェレットにも飛沫感染し、うち2匹が死んだというのです」(サイエンスライター)
さらにマウスで薬の効果を調べると、国が新型インフルエンザのために備蓄を進めている「アビガン」は、ウイルスの増殖を抑える効き目が見られたものの、お馴染みの「タミフル」など、医療現場で使用される薬は効きにくかったという。
元小樽市保健所所長で医学博士の外岡立人氏は、その危険性をこう語る。
「鳥インフルにも様々な種類がありますが、中国には世界中の鳥インフルが存在する。H7N9のタイプは、人に対しても高い病原性を示しており、今や中国国内のどこでも感染する可能性があるのです」
厚生労働省によれば、H7N9は、今年9月27日までに1564人(うち中国で1556人)の感染が判明しているという。
「いずれにせよH7N9は、致死率40%という驚くべき毒性がある。前回、インフルエンザのパンデミックが起きたのは、第一次世界大戦時でしたが、今も世界の政治状況は混乱している。そういった時に、隠れてパンデミックが起きるものなのです」(同)
約100年前の第一次大戦時、米国が発生源となったインフルエンザは、拡散情報がスペインだったために「スペイン風邪」とも呼ばれ、世界の感染者は5億人、死者も一説には1億人とも言われている。しかも、このウイルスは鳥インフルエンザが変異したものと考えられているのだ。
「H7N9も、拡散した場合、100年に一度のパンデミックになる。しかも現状から見て、今年冬から2年以内に起こる可能性が高いと思います」(同)
日本への上陸も間近か。