『アリアドネの弾丸』第10話、気弱そうな中村靖日の見せ場

トレンド 2011年09月16日 11時45分

 フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』の第10話「点と線」が9月13日に放送された。今回は警察庁の斑鳩芳正(高橋克典)に立ち向かう玉村誠(中村靖日)警部補の見せ場であった。
 ミステリー作家・松本清張の代表作の表題をサブタイトルに借用した今回は、ミステリー色が濃厚になった。松崎行雄(六平直政)が他殺であることや20年間に7人もの女子高生が不審死していることが判明する。

 『アリアドネの弾丸』はAi(死亡時画像診断Autopsy Imaging)推進が一つのテーマであったが、Aiで調べても松崎の死因に不審点は発見できなかった。Ai至上主義者の島津吾郎(安田顕)が法医学者の笹井スミレ(小西真奈美)に頭を下げて解剖を依頼する。これはAiの限界を象徴する。
 一方で、もう一つのテーマ・死因不明社会は健在である。過去20年間に同一河川で7人もの女子高生が死亡しているが、多くは「事件性なし」と判断されていた。警察の無能や怠慢を責める白鳥圭輔(仲村トオル)の舌鋒は鋭い。
 しかも、松崎の殺害手口から殺人犯が警察関係者である可能性も浮上する。その中で玉村警部補は「私は、正義の味方です」と言って、怪しさ満点の斑鳩の命令を拒絶する。これは斑鳩にとっては痛烈な皮肉になる。これまで斑鳩は「自分達警察が正義である」という歪んだ思考によって、警察に非があっても謝罪しないなど独善的に振る舞ってきた。自分が拠り所としてきた正義によって拒絶された形である。

 「玉ちゃん」と呼ばれる玉村は温厚で人のよさそうな刑事である。玉村を演じる中村靖日は気弱な役柄が多い。映画『運命じゃない人』では頼まれごとを断れない会社員・宮田武を主演し、映画『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』では虐められ役の「上原さん」を演じた。玉村にも気弱そうなイメージがあり、良くも悪くもアクの強い斑鳩や北山錠一郎(尾美としのり)、宇佐美壮一(福士誠治)に比べると迫力が欠ける。その玉村が斑鳩に思わぬ打撃を与えるところにドラマの魅力がある。

 『バチスタ』シリーズはドラマ化で多くのキャラクター設定を変更している。その最たるものは主人公の田口公平である。原作では万年講師の中年男性であった田口であるが、伊藤淳史が演じるドラマでは30歳の設定である。
 くたびれた中年男性が鋭い思考や正義感を発揮する意外性が原作の魅力の一つであるが、それはドラマには欠けている。しかも、『アリアドネの弾丸』の田口は白鳥を励ますなど急成長を遂げている。かっこいい主人公はテレビ的には歓迎だが、原作のユニークな立ち位置を損なってしまう。
 この点で玉村の見せ場は原作的な意外性の魅力を発揮した好シーンである。次回はいよいよ最終回である。ドラマで唯一の良心的な警察官である玉村の活躍にも注目である。

(林田力)

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