森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 憲法改正は必要か

社会 週刊実話 2018年03月16日 14時03分

 2月22日、国会の憲法改正をめぐる議論のなかで、安倍総理は、自らが主張する「憲法9条の戦争放棄、戦力不保持という2項を残した上で自衛隊を明記する」という改正案について、“自衛隊が憲法違反である”という議論を払拭していくことが、自分の使命だと述べた。
 自民党内には、憲法9条から「戦力の不保持」を削除して、国防軍を創設するという考えの議員もいる。ただ、いずれの立場にしても、いまの憲法の規定では、自衛隊の存在が不明確になっているという認識は、同じだ。

 私自身も、自衛隊の憲法上の位置づけは問題だと思っているし、普通に憲法の条文を読めば、自衛隊の存在自身が憲法違反だとは思う。しかし、憲法上の問題を解消する手段は、憲法を変えることだけではない。自衛隊法を改正すればよいのだ。
 自衛隊法は第3条で、「自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」と規定している。
 これを「自衛隊は、我が国の平和と安全を保つため、大規模災害が発生した際に、救援活動を行うことを主たる任務とする。また、我が国に対する侵略行為が実際に行われた場合に限って、わが国を防衛する任務を兼務する」とすればよい。
 つまり平時は、「災害救助隊」として活動し、有事のときだけ、防衛活動を行うのだ。もちろん、自衛隊は専守防衛に徹するため、空母や攻撃用ミサイルは保有しない。

 こういう話をすると、すぐに問題にされるのが、米国との関係だ。いまや自衛隊は、米国のアジア防衛の一翼を完全に担っている。もっとはっきり言えば、米軍の一部と化している。だから、日本の武装放棄をアメリカが許すはずがない。だから、日本は自衛隊を災害救助隊に改組する段階で、日米安全保障条約を破棄する必要があるのだ。
 IMF統計によると、1995年に日本のGDPは世界全体の17.6%を占めていたが、2016年には6.5%まで減少している。日本経済のシェアは、この21年で、3分の1にまで落ち込んでいるのだ。なぜ、そんなことが起きたのか。最大の理由は、構造改革政策によって、米国資本を中心とするハゲタカ資本に日本が食われてしまったからだ。ゆえに、いまこそ日本は米国からの独立を図るべきなのだ。

 日本は米国の防衛力の傘の下にいるから安全が保たれているので、もし、そんなことをしたらあっという間に日本が侵略されてしまうと、多くの人が思うかもしれない。しかし、万が一、侵略を受けるような事態となった場合、私は自衛隊に任せるだけでなく、国民全員が戦うべきだと思う。
 ベトナム戦争で、北ベトナム軍が実質的にアメリカに勝利したのは、ベトコンの存在が大きかった。ナチスドイツがパリを占拠した時、一番手を焼いたのが、市民のレジスタンス行動だった。
 私は、自衛隊員だけに戦争の責任を押し付けるのは間違っていると思う。万が一のときには、国民全体で戦う。独立を勝ち取った国は、みな国民全体で戦っているのだ。

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