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アルビレックス新潟 ホームでの苦闘と微かな希望

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画像はイメージです

 J2リーグにおいて今シーズン、ホームゲームで3か月以上、勝ち星から遠ざかっているクラブがある。今季よりJ2を戦うアルビレックス新潟だ。7月15日に行われた横浜FC戦にも0−1で敗れ、この日もホームスタジアムに集まったサポーターに勝利を届けることが出来なかった。

■今季7敗目となるホームでの敗戦

 もはや、昨季までトップカテゴリーに在籍し続け、強豪クラブと渡り合ってきた頃の面影は感じられない。ここまで17位に沈んでいる新潟ではあるが、深刻なのがホームでもあるデンカビッグスワンスタジアムでの戦績だ。

 リーグ戦での勝利は3月の対徳島ヴォルティス戦で挙げた1勝のみ、12試合のホームゲームで7敗を喫している。特に、先月のホームでは18節の東京ベルディ戦で1−2の逆転負け、その10日後に行われたヴァンフォーレ甲府戦では5失点での大敗と、ショッキングな形の敗戦が続いた。

 そして、先日の横浜FC戦、序盤から出足の良さがみられ、終始ボールを支配しながらも決定的な場面で攻め切ることが出来ず、後半開始早々に一瞬のスキを突かれ失点。その後は好機を作り出せず、またしても敗戦を告げるホイッスルを聞く羽目となった。スタジアムには、1万6千人を超える観客が足を運ぶも、歓喜はまたしても生まれなかった。

 さらに、気になるのはゲーム内容もさることながら、試合終了後のピッチ外での光景だ。

■クラブを包む空気の過去と現在

 横浜FC戦後、サポーター席からはブーイング、そして罵声の入り混じったあらゆる「声」が選手たちにぶつけられていた。

 また、別の試合後には、ゲーム内容に不満を募らせたサポーターが名指しで選手に罵声を浴びせ続けるシーンや、場内一周しながら手にしていた水のボトルを高々と放り投げピッチに投げ入れる選手の姿も。そして、スタンドからは敗戦の度に激しいブーイングが鳴り響く・・・。
 これまでも見られていた場面ではあるはずだが、ここ最近では特に目立ち、ホームゲームの結果と共にスタジアムを取り巻く空気も限りなく重苦しさを増していっているのは確かだ。

 振り返ると、Jリーグクラブの中でも特に選手・サポーターが一体となる印象が強く伝わるのが、アルビレックス新潟だった。

 かつて、新入団選手がアルビレックスを選択した理由の一つに「多くの熱狂的なサポーター」を挙げた選手がいた。また、指揮官が試合前のスタンドまで訪れ、試合前に目の前のサポーターに対し、より多くの声援を求めた出来事や、さらには、怪我により長期離脱中だった主力選手がサポーターの横断幕作りに姿を現し、共に戦うことを誓い合うといったシーンもアルビの歴史の一つとなっている。相手選手から「アウェー」という雰囲気が特に強く感じられるクラブであると恐れられることさえあった。
それらは地方在籍のクラブにとって、何物にも代え難いストロングポイントであり、かけがえのない誇りだったはずだ。
 ここまで第23節終了時点で得た勝ち点は26。「1年でのJ1復帰」を目標に掲げた新潟はすでにプレーオフ圏からも大きく離されつつある。ただ、低迷するチーム状態の他にもう一つの大切なものも失い掛けているような気がしてならない。

■可能性のある限り希望を信じて

 横浜FC戦では、試合開始直前より新潟サポーターの間で10年以上歌われ続け、代表曲ともいえる応援チャント「アイシテル新潟」が10分以上にわたり鳴り響いた。ホイッスルが鳴ると、2試合連続スタメンとなる田中達也や矢野貴章といったベテラン勢が前線からボールを追い、球際で激しく競り合う姿がピッチ上に繰り広げられた。

 オレンジのユニフォームが泥臭くボールに喰らいつき、サポーターの声援でスタジアムを包む。

 敗れはしたものの、ここ最近にはなかったスタンドとピッチの一体感を感じられたことが、今後に向けての微かな希望に感じられた。

 それ故、可能性が残されている限り、前を向いて「俺たちの誇り」を取り戻す戦いから逃げ出してはならないだろう。皆で作り上げてきたアルビレックス新潟の風景を完全に失わないためにも。(佐藤文孝)

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