石破 冷や飯、冷遇と言われるが、私は必ずしもそうだとは思っていませんよ。派閥の規模のわりに毎回大臣を出させていただいているし、今は山下(貴司)さんが法務大臣、政務官や政調会長代理もいます。そのうえで、派閥の議員からは「ポストや金が欲しかったら、石破派なんかにはいない」という声もあるんです。わが派は、心意気で成り立っているグループでもあるということです。
――しかし、石破派19人での天下取りは、いかにも手勢が少ないとの感があります。二階派あたりは派閥増強に余念がないが、石破さんは増やすつもりはないのですか。
石破 それは、仲間が増えたらいいなとは思っていますよ。とにかく、今の自民党には、おかしいことはおかしいと、ハッキリ言える集団が必要です。何か言えば、それ冷や飯だでは、党内の民主主義は利かなくなる。これは、ものすごく恐ろしいことですね。
――私も50年以上永田町を取材してきていますが、かつてのダイナミズムの働いていた「三角大福中」の時代から比べて、今の自民党にはウイングの広さが見えません。あの頃は、党内の右と左が侃々諤々の議論をして、党としての落としどころを模索していました。要するに、言いたいことが言えた自民党だった。ところが今は、言いたいことを失言と暴言が“代替”している感じがします。
石破 党内でも議論はちゃんとあるんですよ。でも、それがあまり報道されることはない。そうした中で異を唱えると、すぐポストや選挙に影響が出るのだと、党内の多くが思っています。それが、全体として萎縮した空気を醸し出している。物言えば唇寒し、損をするといった雰囲気になっている。もっと開かれた政党にならないとね。
――それなら、石破さんはなおさら「ポスト安倍」で勝ち上がらねばなりませんね。そこで、戦略としての派閥の合従連衡についてうかがいたい。石破さんは旧田中派を源流に、竹下派、橋本派、小渕派に所属、石破派となって、今の竹下亘氏が会長の竹下派(平成研究会)とは友好関係にあるようですが、ズバリ、うかがいます。ごく近い将来、今の竹下派との合流ということは、視野にありますか。
石破 会長の竹下亘さんが病気療養中です。今、私が言及していいことではありませんね。もとより平成研に在籍していた私が、竹下派に親近感があるのは当然ですが…。
(明日に続く)