2016年10月、当時60歳だった女性Tさんの遺体が一部白骨化した状態で見つかった。発見場所は、東京・港区新橋5丁目に建つTさんの自宅と隣家の間の狭い通路。遺体に外傷はなく、警察は当初、「事件性なし」と判断していた。
「しかし、Tさんは同年3月から、ほとんど自宅に戻っておらず、心配した近隣住民が捜索願を出し、警察は2度にわたってTさんの自宅を家宅捜索していたんです。そのときに発見されなかった遺体が、なぜか10月になってほぼ白骨化して見つかったわけです。近隣住民たちは、それまで異臭などはなかったと証言している」(取材した事件記者)
Tさんは、虎ノ門と新橋をつなぐ通称「マッカーサー道路」の開通によって地価が上がっていた周辺の土地(推定総額15億円以上)を所有していた大地主。
「一帯の地上げを行っていたのは、新橋の雑居ビルに入る『K』という会社だが、資金繰りに詰まって元暴力団組長に金を借り、会社を乗っ取られた。カミンスカスはその組の関係者で、佐藤は『K』の元代表。秋葉はTさんに成りすましたとみられている」(同)
生前、Tさんは「私は土地なんか売ってない。印鑑もついてない」と言っていたにもかかわらず、彼女の土地は目まぐるしく所有権が移転され、最終的にK社からN社に売却された。しかも、住所も勝手に大田区に移されていた。
「もともとTさんは変わり者で、人付き合いを嫌って都内の高級ホテルを転々としていた。本人は自覚していなかっただけで、途中からは、そうしたホテルで、取引が済むまで地面師たちの監視下に置かれていた可能性もある」(捜査関係者)
積水同様、この事件にも、服役中の大物地面師Uの影がちらついているという。
「新橋の案件が進行している頃、Uは保釈金を払ってシャバにいた。2課は、Tさん他殺の可能性も視野に入れている」(全国紙記者)
その2課は、現職幹部から事前に情報が漏れてカミンスカスの国外逃亡を許した、との疑惑報道で激震中。こんな状態で、新橋の事件まで解明できるのか…。