――今回、明智光秀のオファーを受けて、どう思いましたか?
高嶋 我ながら、随分でっけえ明智だなと思いましたね(笑)。僕の主な出番は、いきなりクライマックスで、まさにこれから信長を討たんとする本能寺への突撃シーン。鈴木(雅之)監督からは、「俳優だから、セリフの強弱をつけたくなると思うけど、最終的に明智の軍勢が1万5000〜2万人くらいになるから、その1万5000人目の人まで届く声で喋ってくれ。キミならできる!」と言われまして。
――それで、ああいう力強い明智光秀になったんですね。過去にはドラマ『信長協奏曲(ノブナガ コンツェルト)』でも柴田勝家を演じたりと、高嶋さんは信長関連にゆかりが深いというか…。
高嶋 そうですね(笑)。『本能寺の変』などはもう随分とやらせてもらいました。『本能寺ホテル』で森蘭丸を演じた濱田岳も、信長協奏曲ではエロ本を懐に隠してる徳川家康でしたし。主要キャストの中では、風間杜夫さんだけ初めてだったんですけど、僕は『蒲田行進曲』に衝撃を受けて以来、風間さんの舞台もよく見に行っているくらいの大ファンなんですよ。作中での絡みは全然ないんですけど、風間さんと同じ作品に出られたことは嬉しかったですね。
――その風間さんのお話だと、夏の盛りで収録は暑さとの闘いだったそうですが、甲冑を着ての撮影は大変だったんじゃないですか?
高嶋 いや、僕にとって、鎧兜っていうのは好きなコスプレの一つなんで。
――好きなコスプレ!?(笑)
高嶋 ええ、鎧兜ってカッコいいですからね。なんでもできるような気分になるし、もう鎧兜をつけたら、あんまり脱ぎたくないんですよ(笑)。しかも今回は、今までに僕が着た鎧兜の中でもフィット具合が最強だったんです。通常、鎧を着ると体がでかくなっちゃうんですけど、タイトなつくりのカッコいい鎧だったので、着ていて気持ちがよかったですね。
――『本能寺ホテル』では、エレベーターを通じて戦国時代の本能寺にタイムスリップできます。もし、現実世界で同じことができるなら、高嶋さんは試そうと思うタイプですか?
高嶋 行ってみたいし、見てみたいですよね。一つ僕が踏み出したいと思う理由は、当時、信長公は既に南蛮渡来の奴も引き入れていたので、いきなり僕が現代の格好をして行っても特に違和感を抱かないんじゃないかと。いろんな現代の物を持っていって、信長公に使い方とか実際に見せて、それで参謀に入り込む。そして、自分の帰りたいときに帰ってくると。
――でも、作中の設定だと、自力で帰ってこられないですからね。
高嶋 そうなんですよね…。でも、行くならホントにいろんな物を持って行きたいですね。だって、信長を見てみたいじゃないですか。やっぱりカッコいいなと思うかもしれないし、もしかしたら『なんだ、この変なヤツ?』って、笑っちゃうかもしれないけど。
――高嶋さんは51歳になった今も、見た目がずっと変わらない印象があるんですけど、何か若くいられる秘訣とかあるんですか?
高嶋 やっているんですよ、いろいろ(笑)。僕は食べ歩きが好きなので、結構、外で飲んだり食べたりするんですけど、黄金律がありまして。具体的には、朝=酵素、昼=炭水化物、夜=動物性タンパク質と野菜、この方程式は守っているんです。プラス、いちばん大切なのは適度な運動ですよ。僕も最初はウオーキングから始めて、3年かかって今では毎朝2キロのジョギングを日課にできるまでになりました。
――はあ〜、めちゃめちゃ意識が高いですね。
高嶋 ただね、毎朝走るとか、朝昼晩の食事とかいうと、人によっては絶対そうしなきゃいけないんだって固執する人がいるじゃないですか。そうなっちゃダメなんですよ。人に誘われているのに、『いや、俺は絶対食わない。これを守らなきゃいけないから、人と会わない』とか固執しちゃいけないんです。人間は遊びもないとダメなので。
――じゃあ、普段のルーティンは基本守りつつも、ある程度は付き合いに応じ…。
高嶋 そうそう。付き合いに応じて飲んだくれて、飲み屋の床で倒れてるとかね。
――っていう日もあるわけですか。
高嶋 あります(笑)。そういうふうにやらないとダメなんですよ。
――なるほど(笑)。では最後、本誌の読者と高嶋さんのファンの方に、何か勇気が出るようなメッセージをお願いします。
高嶋 そうですね、やっぱり人間、遊びが必要だと。だから『週刊実話』のエロページを見て、みんな興奮して今年も頑張りましょうと。そんなところですかね(笑)。
高嶋政宏
1965年、東京都出身。大学在学中の'87年に映画『トットチャンネル』でデビュー。これまで日本アカデミー賞のほか、数々の受賞歴を誇るほか、テレビドラマでも人気を得ている。熱烈なロック通など多趣味なことでも知られている。
映画『本能寺ホテル』は、2017年1月14日(土)、全国東宝系にて公開。
監督◎鈴木雅之
出演◎綾瀬はるか、堤真一、濱田岳、平山浩行、田口浩正、高嶋政宏、近藤正臣、風間杜夫