英国の中東専門ニュースサイト『ミドル・イースト・アイ』は10月16日、体の切断はカショギ氏が生きている間に始められたと報じた。その最中にイヤホンをしていたとみられる法医学者の男が、「こういう仕事をするとき、私は音楽を聴く。君たちもそうすべきだ」と話す様子も記録されているという。この法医学者はサウジの治安機関に所属しているとみられている。
一方、トランプ米大統領は10月15日にサウジのサルマン国王、16日には国王の名代としてほぼ全権を掌握するムハンマド皇太子と連日電話で協議したが、皇太子は「何が起きたか全く知らない」とあらためて主張した。皇太子については、米メディアがカショギ氏拘束の指示や尋問を承認したなどと報じ、関与が取り沙汰されている。
「トランプ大統領のサウジ政府を擁護する姿勢が際立っています。同氏の援護を受けるサウジ政府は『事故だった』として幕引きを狙う構えですが、実はトランプ大統領がサウジ寄りの姿勢を見せる背景には、サウジが昨年5月に米国史上最大規模の約1100億ドル(約12兆3000億円)に及ぶ武器売却契約を結んだことなどがあるのです。さらにトランプ大統領個人とサウジとのビジネス上の結び付きは、決して無視できません」(在米日本人ジャーナリスト)
AP通信などによると、トランプ大統領が資金繰りに困っていた1991年には、所有していたクルーザーを2000万ドル(約22億円)でサウジ王室のA王子に売却。さらにA王子は、95年には他の投資家とともにトランプ大統領が経営に困窮していたニューヨークの『プラザホテル』を3億2500万ドル(約364億円)で購入している。
この取引以外に、サウジ政府がニューヨークの『トランプ・ワールド・タワー』の45階部分を購入、施設使用料などを含めると、これまで1000万ドル(約11億円)以上を出費した。ワシントンの『トランプ・インターナショナル・ホテル』では、トランプ氏が大統領に就任した昨年1月の前後数カ月で、サウジ政府系のロビー団体が宿泊費などで27万ドル(約3000万円)を出費した。などの指摘がある。
トランプ大統領は納税記録の公表を拒否しており、全容は分かっていない。トランプ大統領は16日、案の定AP通信の指摘を「フェイクだ」と反論している。