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キャンプ情報 2012年大混戦の予兆 埼玉西武編

 「菊池雄星と十亀(剣=24)を見てほしい」。関係者からキャンプのキーマンをそう教えられていた。菊池は昨年オフ、オーストラリア・ウインターリーグに参加し、実戦感覚を持ったままのキャンプインとなった。収穫は新球・カーブをマスターしたこと。実質、変化球はスライダーしかなかったのも同然だっただけに、本人はカーブ習得に自信を秘めているという。しかし、『新球習得』による自信という点では、大学、社会人を経験したドライチルーキー・十亀の方が大きいのではないだろうか。

 十亀のシュートは『空振り』が取れる−−。ドラフトフリークは「JR東日本時代から投げていた」と言うだろうが、NPB公認球では今までと違う軌道を描くようになったのだ。「揺れながら落ちる」軌道で、前出のチーム関係者によれば、ボールの握り方等は全く変えていないという。昨季話題になった統一球がもたらせた“副産物”である。渡辺久信監督の言動からも十亀への期待の大きさが窺える。昨年は事ある度に牧田(和久=27)を褒めていたが、十亀に対する称賛は「牧田の倍」と言っても過言ではない。十亀の先発ローテーション入りは間違いない。
 また、今季の投手陣は“壮観”である。エース・涌井秀章を筆頭に、先発6人枠は岸孝之、西口文也、石井一久、大石達也、牧田、ゴンザレス(新加入=29)、平野将光、菊池の8人が争う図式になった。岸がやや出遅れていた。今の大石ではこの高いレベルでの競争だと、ちょっと厳しい。菊池、平野にも「もうひと押し」が欲しいが、ベテランの西口、石井をフル回転させる必要もなくなったのは強みだ。クローザーは新加入の左腕・ウィリアムス(36)、新人・小石博孝(24=左投左打)のどちらに決まるか分からないが、江草仁貴、星野智樹、松永浩典の『左腕リリーバーたち』も順調に仕上がっていた。ウィリアムスは長身から投げ下ろすタイプで、小石はテークバックが独特な変則投手である。小石は『対左打者』のワンポイントでもいける。これで、先発の菊池が一人前になれば、慢性的な左投手不足に泣かされてきた渡辺西武は、一気に『左腕王国』に変貌する。FAで帆足を喪失した穴は解消されたと見ていい。

 野手で目を引いたのは、新外国人選手のエステバン・ヘルマン(34)。登録は『内野手』だが、二遊間の守備はもちろん、外野もこなせるユーティリティ・プレーヤーである。肩は余り強くなさそうだったが、『走塁センス』は際立っていた。メジャー通算10年間の盗塁数は「34」と紹介されているが、スタートダッシュが綺麗で、4歩目、5歩目でさらに加速してくる。ランニングフォームにもパワーがあり、ソフトバンク・本多の『4年連続盗塁王』を阻む可能性も秘めている。また、シート打撃練習を見た限り、「選球眼の良いバッター」だと思った。インコースの際どいところも自信を持って見送っており、ヘンに結果(=安打)を欲しがらないというか、ストライクゾーンに来た投球だけをスイングしていた。外国人選手としては珍しく、「ゴロヒット」の多いタイプだと思った。同じく新加入のカーターはフリー打撃でもライナー性の打球を広角に打ち分けており、おそらく、「打率の残す」のは彼の方だろう。しかし、スピードのあるヘルマンは内安打を稼げる。「選球眼が良い」と言っておきながら矛盾するが、「ストライクか、ボールか」の見極めが少し早いような気もする。ボールコースからストライクゾーンに曲がってくる変化球もあるので、1球1球を大切にして欲しい。変化球の多い日本球界の配球に適応するまである程度の時間は要するだろうが、盗塁王候補・ヘルマンは面白そうである。

 守備では中島裕之(29)の三塁と、中村剛也(28)の一塁に一抹の不安が残った。中島がヤンキースとの交渉に失敗し、残留を決めた経緯は繰り返すまでもないが、渡辺監督は浅村栄斗(21)の新遊撃手構想を変えず、『一塁・中村、三塁・中島』のコンバートを選択した。遊撃手時代の中島は攻守のイメージも強かった。そのせいか、不慣れな三塁守備では機敏さは感じられなかった(2月中旬)。時間の経過とともに解消されると思うが、中村の方はゴロ捕球の構え方もコーチに指摘されており、ある程度のミスは覚悟しておいた方が良さそうだ。もっとも、守備範囲は狭くないので、シーズンを通して「ゆっくり、一塁守備に慣れていく」ということだろう。
 新外国人、新人投手…。オフの補強は大成功だったようである。

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