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アフガニスタン中村哲医師殺害事件…動機は「水」かそれとも「麻薬」か

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提供:週刊実話

 アフガニスタンで、緑化や灌漑事業、医療施設拡充に取り組んでいた中村哲医師が殺害された。12月9日までに2人が逮捕され、武装グループによる計画的事件ということは判明しているが、犯人像や動機はナゾに包まれている。

「犯行声明がいまだに出ていないことから、イスラム過激派によるテロの可能性はゼロではありませんが、消えています。実は州政府や警察には『中村医師が襲撃される』との情報が繰り返し寄せられており、中村医師本人にも伝達されていました。ですから当局は、犯人は地元かその近郊出身者に違いないと見ています。その根拠は2つあって、襲撃グループは、アフガンからパキスタンにかけて見られる民族衣装を着ていること、地元での主要言語の1つであるパシュトー語で会話していたことです」(国際ジャーナリスト)

 そして動機だが、浮上しているのが2つの利権、「水」か「麻薬」に絡んで恨まれたのではないかという見立てだ。
「というのも、犯行には強い殺意がうかがえるからです。2008年には中村氏とともに灌漑施設の建設に携わっていた日本人青年が殺害されています。中村医師の業績の1つにパキスタンからアフガンを流れるクナル川から用水路を引いて、アフガン東部ガンベリ砂漠を緑化した事業があるのですが、この一帯は内戦の後遺症や2000年以降深刻化した干ばつの影響で荒れ放題になっており、水の確保は重要さを増しています。中村氏の灌漑事業によってこの一帯の住民の中に『流れが変わった』『水が減った』などと怒りを感じている人がいれば、それは殺人の動機になり得ます」(現地情勢に詳しいジャーナリスト)

 一方、アフガンは麻薬の一大生産国であることはよく知られているが、治安が悪化しているために当局は麻薬栽培の取り締まりまで手が回らない。

「実は麻薬はイスラム過激派の重要な資金源になっています。中村氏はその状況をよく知っており、人々が麻薬を栽培しなくても生活できるようにと灌漑施設の建設に力を入れ、それによって優良な農地を手に入れた農民は、表面的には感謝していたかもしれません。しかし中には、麻薬でもうけたいのにと不満を抱いた人物がいないとは限りません」(同・ジャーナリスト)

 先進国の「善」は、途上国から見れば「偽善」に見えてしまうことがあるのかもしれない。

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