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大谷翔平の打撃を劇的に変えた「13ミリの差」

 わずか「13ミリの差」がエンゼルス・大谷翔平(23)を劇的に変貌させた。

 4月13日(現地時間)の対ロイヤルズ戦で、打者・大谷は打順を一つ上げ、「7番指名打者」で先発出場。1点を追う8回、低めの変化球をセンター前に弾き返し、メジャー3度目のマルチヒットをマークした。
 後続も続き、大谷が決勝のホームを踏む。『翔タイム』は、鮮やかな逆転勝ちで完結した。
 「平日のデーゲームでも4万人強を集客しました。大谷目当てなのは言うまでもありません」(特派記者)

 ここまで「打者・大谷」は30打数11安打(打率3割6分7厘)、打点11、本塁打3。「投手・大谷」は2試合に先発し、2勝。防御率2.08と、二刀流のどちらも絶好調である(16日時点)。しかし、こんな短期間で変われるものだろうか。オープン戦は打率1割2分5厘、防御率は27.00で「高校生レベル」とまで揶揄された二刀流は、劇的にバージョンアップしてみせた。
 「大谷はオープン戦後半から右足を上げない“すり足打法”に変更しています。彼の言葉を借りると、『無駄を省く』。メジャーのスピードボールや手元で揺れるムービングボールに対応するためです」(同)
 それだけではない。大谷を変貌させたのは、「13ミリ」の進化であることが本誌調べで分かった。

 キャンプ中の2月19日だった。同日から野手組もキャンプに合流した。彼らも二刀流に興味があったらしく、打撃ゲージの後ろで順番待ちしていた大谷のもとに集まり始めた。
 「何人かの選手が話し掛けていました。大谷が日本から持ち込んだ黒塗りのバットを借り、しばらく談笑していましたよ」(現地入りした日本人記者)

 一見、ごく普通のキャンプ光景だ。しかし、これが今日の大谷の活躍を示す予兆でもあったのだ。
 「昨秋、メジャー挑戦が決まるのと同時に、大谷はニューモデルのバットを注文していました。高校時代から愛用していたのは34インチでしたが、33インチと1/2に変更したいとのことでした」

 旧在籍チームの日本ハム関係者がそう言う。重さ、グリップの太さなどは変えていない。バットを短くしたのは“すり足打法”と同じく、メジャーのスピードボールに対応するためだ。
 「メジャーのスタンダードサイズは34インチ(約86センチ)です。33インチと1/2を使用している選手もいないわけではない。33インチに関してはディープな支持層というか、コアな愛用者が多いようです」(前出・特派記者)

 33.5インチ。大谷がこの約13ミリ短くしたバットを使いこなせるようになったのは、オープン戦終了後なのだ。
 わずか13ミリ…。バットの芯の箇所がそれだけ手元にくれば、自身は仕留めたつもりでいても、飛距離が出ないが、すり足打法が体に馴染むにつれ、13ミリほど手元にきた芯の箇所でも、ジャストミートできるようになったのだ。
 「大谷がバットを短くしたのは正解です。短くなった分、メジャー独特の小さく変化するボールにもうまく合わせられるようになり、ストレートがきたと思ってバットを出し、途中からカットボールだと分かると、バットのヘッドをわずかに下げ、対応しています」(前出・日本ハム関係者)

 グラウンド外の大谷だが、エンゼルス首脳陣に怒鳴られたこともあった。大谷は月約4700ドル(約39万円)のマンションに住んでいる。メジャーリーグの新労使協定により、25歳以下の外国人選手はマイナー契約しか交わせないと決まったから質素な暮らしをしているのだが、エンゼルスの本拠地球場とは、クルマで10分ほどしか離れていない。
 「自転車を買って、それで通いたいと球団に相談したんです。球団スタッフがクルマで送り迎えしていたので、何か不満があったのかと思い、詳しく聞き直したら、『景色がキレイだから』『気持ちよさそう』と言うんです。『パニックになるからやめろ!』と怒鳴られていました」(エ軍関係者)
 全米野球ファンの注目の的という自覚がないのだろう。そういう無垢なところも好感が持たれている。

 また、食生活だが、今は球団が雇った栄養士の世話になっている。その栄養士が1週間分の朝飯と夜食を作り、それを1食分ずつタッパーに入れてもらい、冷凍保存しているそうだ。エスニック系のスープ、パスタ、豚肉多めの野菜炒めなどがお気に入りとのことだが、毎朝、電子レンジでチンして“1人メシ”…。前出の日本ハム関係者によれば、近く、母親も渡米する予定だという。
 「昨年1月、大谷は元DeNAの三浦大輔氏とテレビ番組で対談しました。当時、22歳。三浦氏が『オレは22歳で結婚した』と話すと、物凄く驚いていました。大谷はまだ子ども」(同)

 フォークボール系の変化球・スプリットも、メジャーリーグの使用球に馴染むにつれ、鋭さを増してきた。米ファンの関心は「この快進撃はどこまで続くか?」に移っている。13ミリの誤差を修正した今、一気に調子を落とすことはなさそうだ。「何年ぶりの快挙」ではなく、大谷流で新たな歴史を切り開いてほしいものだ。

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