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検証1「トラの糸井はセ・リーグ盗塁王になれるのか?」

 糸井嘉男外野手は本当にトラの救世主になってくれるのだろうか。2016年の成績は打率3割6厘、本塁打17、打点70、盗塁53。球界史上最年長となる35歳での盗塁王のタイトル獲得は「素晴らしい」のひと言に尽きる。阪神も年齢を感じさせない脚力を見て、4年の長期契約を提示したのだが、「セ・リーグで盗塁王のタイトルが獲れるのか?」「リーグを跨いでの2年連続タイトル奪取は?」と聞かれれば、厳しいと言わざるを得ない。
 2016年、阪神の総盗塁数は59。リーグワーストであり、チーム全体で糸井と同じくらいしか走っていないことになる。「59+糸井の53」という、単純な計算をすれば、計112となって、リーグトップの広島の118とほぼ同数の盗塁数。しかし、そう簡単には走れそうもないのだ。

 「甲子園の土のグラウンドですからね」
 ライバル球団のスコアラーがそう言う。
 甲子園球場のグラウンド整備は日本一とも称されている。土の性質、きめ細やかな整備は説明するまでもないが、盗塁を量産するスピードプレーヤーにとっては「走りにくいグラウンド」ともなるようだ。
 セ・リーグとパ・リーグの両方を経験したプロ野球解説者によれば、甲子園の内野フィールドは「柔らかい」と言う。そのため、人工芝の他球場に感覚が慣れてしまうと、地面を蹴る力が伝わらないような違和感を覚えるそうだ。この「違和感」は、今日、交流戦で勝ち越しているパ・リーグ各球団からも出ている。糸井は日本ハム、オリックスを渡り歩いたが、土のグラウンド球場を本拠地とするのは初めて。交流戦で甲子園の感覚は体験しているはずだが、セの対戦チームは「盗塁の量産は難しい」と見ている。
 もっとも、野村・星野・岡田時代に逆上れば、阪神には5年連続盗塁王の赤星憲広(現野球評論家)がいた。反論材料としては十分すぎる根拠ではあるが、当時を知る関係者が興味深い話を教えてくれた。
 「星野(仙一)監督で優勝した03年は、主に『2番赤星、3番金本』でした。当時の金本監督は赤星に『初球はオマエにやる。でも2球目からは打ちにいくからな』と伝えていました。要するに、初球はホームランボールでも見送る。『走るんだったら初球で』という意味です。1球しかチャンスがない、その緊張感が赤星を成長させたんです」

 オリックスでの糸井は「好きに走っていい」と言われていた。来季36歳となる糸井は、成長過程にあった当時の赤星とは異なる。金本監督も「好きに走っていい」と伝えるのなら、糸井の次を打つバッターは“盗塁サポート”でストライクを見送るリスクを背負うことになるが…。
 「いや、糸井の盗塁が相手バッテリーへのプレッシャーとなり、次打者に甘いボールが行くはず」(前出・プロ野球解説者)
 一部報道によれば、金本監督は『2番センター』で糸井を使うという。阪神の命運は、3番を託されるバッターが糸井とどんな申し合わせをするのかに掛かっているようだ。

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