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【オカルト界の権威・山口敏太郎が語る“都市伝説”】〜かえってくる人形〜

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画像はイメージです

 ある女の子が、幼児の頃から大切にしていた人形を捨てた。

 「あたし、もう赤ちゃんじゃないから」

 という理由であった。

 しかし、いつの間にか、机の上に戻っている。

 「なぜかしら?ママが戻したの?」

 「あら、ママは知りませんよ」

 母親はいぶかしげに答えた。

 女の子は、気味悪く思ったものの、再び人形を捨てた。

 今度は隣り町のゴミ捨て場に捨てた。

 これだけ離れると大丈夫だろう。

 だが、再び人形は女の子の部屋に戻っていたのだ。

 女の子は戦慄した。

 手にした人形がやや笑ったように思えたからである。

 ある時、女の子は自宅の引っ越しの日にその人形を捨てた。

 こうすれば、人形が返ってくることはないだろう。

 女の子はそう思ったのだ。

 動き出す車の窓から女の子は、ゴミ捨て場に置かれた人形を見つめていた。

 引っ越したその夜、留守番をする女の子が電話に出ると

「もしもし、私よ。なんであたしを置いていったの?これから行くわ」

 女の子は不気味に思いながらも電話を置いた。

 すると、間髪を入れず再び電話が鳴った。

 「もしもし、私よ。今ね、あなたの町の駅よ」

 女の子ははっと驚き、急いで電話を切った。

 人形が返ってくる。いや誰かのいたずら?

 そして、3回目の電話が鳴った。

 女の子が恐る恐る電話を取ると

 「もしもし、私よ。今ね、あなたの家の前よ」

 女の子は恐怖でおののきながらも、玄関の扉をほんの少しだけ開けた。

 誰もいない。

 やっぱり誰もいない。

 やはり誰かのいたずらだったのか。

 女の子はママの「帰るコール」を待った。

 そして、4回目の電話が鳴った。

 「ママの電話かな」

 女の子が受話器を取った。

 「もしもし、私よ。今ね、あなたの”う・し・ろ”よ」

(山口敏太郎)

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