アパレルは好調と不調を繰り返し、販売予測の難しい業種だが、最大手の『ユニクロ』は、まさにSPAの代名詞的存在。そのユニクロに、新たなSPA型企業が対峙しようとしている。本業より社長のプライベートの方がやかましい『ZOZO』だ。
着用してスマホで撮影するだけで体型が測れる『ZOZOSUIT』(ゾゾスーツ)の無料配布により、本格的にSPAへの参入を試みている。一方、SPAの代表として先頭を走ってきたユニクロは、Eコマースを強化し「情報製造小売業」になることを宣言している。
舞台は「オンラインSPA型」に移った。そこを主戦場とする両社の衝突は避けられそうにない。
ZOZOの設立は1998年で、ZOZOTOWNが開設されたのは04年のこと。ZOZOTOWN は、有名ブランドを囲い込むことで急成長を遂げた。売上高は直近の10年で約10倍となっている。
「これまでのZOZOのビジネスモデルは、外部の販売者がアパレルを販売するための『場』の提供でした。各ブランドがZOZOTOWNのページに商品を掲載し、売れたら販売者から手数料を得る。在庫リスクを負わない上、手数料率は約35%と推定され、旨味の大きいビジネスとして急成長したのです。このビジネスモデルでは、当然『Amazon』もライバルとなりますが、アパレル分野の開拓はまだ進んでいない。また競合他社に『SHOPLIST』や『MAGASEEK』などがありますが、ZOZOは商品取扱高でそれらに10倍以上の差をつけて圧倒しており、これだけ差が開いてしまっては2位以下が追いつくにことは容易ではありません」(流通ライター)
ZOZO が挑戦するEコマースアパレルにおける最大の課題は、服のサイズ感の問題だ。リアル店舗とは異なり試着ができないため、届いてみてから「違うワ」ということになってしまいかねない。むろん返品もできるが手間がかかる。その懸念は的中した。
「ゾゾスーツは今年1月以降、ジーンズやシャツなど商品のバリエーションを拡充してきましたが、4〜9月末までの累計売上高は6.5億円で、計画した約16億円には遠く及びませんでした。ゾゾスーツは想定を上回る注文をこなし切れず、商品の発送が遅れているのです。遅延のお詫びとして500円分のクーポンが送られていますが、この信用棄損を取り戻すのは容易ではありません」(同・ライター)
一方、ユニクロは国内だけに飽き足らず、海外へも積極的に進出し、18年8月期の第3四半期では、海外ユニクロ事業の売上収益が国内ユニクロ事業を上回った。国内では安定しており、海外でもグレーターチャイナ(中国・台湾・香港)を中心に売り上げは右肩上がり。ジーユーなどのサブブランドの浸透も進んでおり、現在のところ死角はないように見える。
「唯一の弱点がEコマースです。同社のネット販売は使い勝手が悪く、店舗の補完にすぎません。E分野の売上高は17年8月期に487億円と、商品取扱高2705億円を誇るZOZOに大きく後れを取っています」(同)
本気を出してしまえば、知名度と信用度抜群のユニクロに有利か。