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貴乃花親方が白鵬撃破で相撲協会内「勢力拡大」

 これで貴乃花親方(45)のハラの虫もなんとか収まったに違いない。

 日馬富士の暴行事件がきっかけで始まった一連の騒動も、ざっくり言ってみれば、「貴乃花親方対白鵬(32)」の壮絶な闘いだった。横綱4人のうちの3人を擁し、好き勝手に振る舞うモンゴル人力士たちに対し、「このままでは、大相撲界はダメになる」と真っ向から挑戦状を叩き付けたのが貴乃花親方だったからだ。
 そのモンゴル人力士を仕切っているのが、優勝40回の実績を誇る白鵬で、その動きにさっそく反応、貴乃花排除に動いている。

 「貴乃花巡業部長のもとでは冬巡業に行きたくない。外して欲しい」
 昨年11月の理事長講話の席で、八角理事長(元横綱北勝海)に異例の直訴をしたのだ。九州場所で優勝したばかりの横綱の強い要望で、貴乃花親方は冬巡業から追放された。
 貴乃花親方にすれば、おそらく頭を一発、張り飛ばされた思いだったに違いない。しかし、意外な形で白鵬も報復を受けた。まさに喧嘩両成敗だ。

 それは昨年12月20日、横審の臨時委員会後の記者会見の時だった。北村正任委員長は、白鵬の取り口を批判する相当量の投書が届いていることを明かした上で、厳しく批判したのだ。
 「立ち合いの張り手、かちあげが(九州場所)15日間のうち10日以上もあり、とても横綱相撲とは言えない。美しくないし、見たくない」

 白鵬は横綱になって、この初場所で10年半、63場所にもなる。それだけに立ち合いのスピードや威力の衰えは隠せない。
 それをカバーするためにひねり出したのがこの張り手やかちあげで、それを今さらダメだと言われては、相撲の取りようがない。

 白鵬はたちまち立ち往生してしまった。場所前の横審の稽古総見では、「本当にダメなのか?」と、まるで上層部の反応を確かめるように一発、張り手を繰り出した。これに、NHK解説者で元横綱の北の富士さんは酷評を下した。
 「不届き者だねえ。あれだけ注意されたのに、ケンカ売ってんのかな」
 こう言われては万事休す。完全に封印せざるを得なくなったのだ。

 結果は無残だった。
 注目の初場所初日。新鋭阿武咲の突進を受けてたちまち土俵際に詰まると、なんとか右から突き落として命拾いしたものの、3日目には北勝富士の厳しい攻めに何もできず土俵を飛び出した。翌日も35歳のベテラン嘉風に先手を取れず、攻め込まれてはたかれると前にバッタリ。
 「(立ち合いの)狙いどうこう、ないね。いいところない。心と体のバランス? 多少ズレもあるのかなあ」
 引き上げてきた白鵬は、こう言って大きなため息をついたが、この相撲で初日の朝稽古での右足親指に加えて左足親指も痛め、ついに5日目の朝、休場届を提出してリタイアした。このままでは、とても相撲にならない、と判断したのだ。

 果たして、白鵬はこの張り手、かちあげに代わるような必勝戦法を見つけ出すことができるのか。
 「徐々に変えていくしかない」
 師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)は、こう話しているが、2月は巡業がなく、試す機会も少ない。体と心の両方に大きな傷を負った白鵬は、力士生命の重大な岐路に立たされたと言っていい。経過はどうあれ、貴乃花親方は見事に一本、取り返したことになる。
 日馬富士は暴行の責任を取って引退し、モンゴル人力士たちを仕切ってきた白鵬も自分のことで手いっぱいの状況。とても他人のことどころではない。

 今や、モンゴル人力士たちの結束はズタズタ。気持ちがスッキリしたのか、これまで水面下に深く潜行し、頑なに無言を貫いてきた貴乃花親方もいよいよ動き出した。初場所4日目の17日、都内のホテルで一門会を開き、およそ半月後に迫った理事候補選に備えた会合を開いたのだ。
 「会合には貴乃花親方を含めて一門の8人の親方をはじめ、昨年末に時津風一門を離脱して無所属を宣言した錣山親方(元関脇寺尾)、湊親方(元幕内湊富士)、立田川親方(元小結豊真将)の3人も駆けつけ、合計11人が参加しました。これからも錣山親方ら3人は貴乃花親方と行動をともにするはずで、貴乃花親方は立候補の意思を示すだけで楽々と当選するでしょう。会合時間はおよそ2時間。おそらく貴乃花親方を中心に結束を誓い合ったと思われます」(担当記者)
 その他にも、いわゆる貴乃花シンパと呼ばれる親方たちがおり、さらなる勢力拡大は必至の情勢だ。他の理事候補者たちは戦々恐々としているに違いない。

 この話し合いがよほどうまくいったのか、一門会終了後、貴乃花親方は暴行事件後、初めて報道陣に、「今日は何もありませんよ」とにこやかに口を開いていた。
 また、同じ日に貴乃花部屋の公式サイトも更新。その中で、貴乃花親方は暴行事件で被害を受けた愛弟子、貴ノ岩(27)が現在、地道にリハビリを続けていることを発表。3月の春場所の復帰に向けては、
 「指導は惜しむことなくして参ります」
 と、情熱的な言葉でつづっている。これまでの受け身一方から本格的な反転攻勢に打って出たのだ。

 これからもこの動きは加速していくはず。大砂嵐の問題でさらに叩かれる大相撲界だが、やはり貴乃花親方の動きから目が離せない。

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