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『欧州軍』創設加速!? 名作『パリは燃えているか』が現実に…

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提供:週刊実話

 絵描きを志したヒットラーはパリに深いこだわりがあった。戦況が思わしくなくなり、ノルマンディーに連合国軍が上陸してパリ陥落が近くなると、ヒットラーはパリを失うくらいなら壊してしまえと、ルーブル美術館やエッフェル塔に爆薬を仕掛けて破壊する指令を出したという。

 しかし、パリ占領ドイツ軍のコルティッツ将軍はこれを実行せず、パリ陥落に際して降伏してしまう。このいきさつをフランス自由軍とレジスタンス側から描いたのが映画『パリは燃えているか』(66年)だ。ラストシーンに近づくと、投降したコルティッツ将軍の部屋にあるヒトラーと通話中の電話の受話器から「パリは燃えているか」と叫ぶヒットラーの声が響き渡るという名シーンがある。

 実際に叫んだかどうかは不明だが、パリが燃えるかもしれない事態が、マクロン仏大統領によってもたらされるかもしれない。

 米ロ両国のINF(中距離核戦力全廃条約)論争(米国がロシアの条約違反を指摘し脱退を示唆)を受け、「欧州の安全は自力で防衛しなければならない」という声が高まっている。北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は、「欧州での核配置の必要性」をも主張するなど、欧州で軍備拡張の動きが見られる。

 「INF協定が破棄されれば、米ロ間で核ミサイル開発競争が再開され、欧州が米ロ両国の軍拡競争の舞台となる危険性が再燃しかねず、冷戦時代にカムバックします。フランスでは、国民生活を窮乏化させるマクロン大統領に国民の不満が高まっています。昨年11月17日には『燃料増税』に反対する大規模なデモがあり、25万人が参加しました。例の『黄色いベスト・デモ』です。フランス国民は、マクロン政権のグローバル企業を優先して国民生活を切り捨てる政策に、反対の声を上げているのです」(国際ジャーナリスト)

 その結果、支持率が25%まで落ち込んだマクロン大統領が提唱しているのが「欧州軍」の創設だ。これには前段があって、一昨年夏には『欧州防衛基金』が創設されており、昨年3月にはEU理事会で、有志の加盟国が防衛協力を進める『常設軍事協力枠組み』の行程表が採択された。

 またユンケル欧州委員長は昨年3月8日、EU常備軍の創設を提唱し、こうした声に押される形で、マクロン大統領は昨年11月5日、地元の民放ラジオ局とのインタビューで、「中国とロシアからだけでなく米国からも自衛しなければならない」などと述べ、欧州軍創設を主張したのだ。

 これに呼応したのが、マクロン大統領同様、支持率が低下中だったメルケル独首相だ。メルケル首相は2021年の任期限りで政界を引退する意向だが、両氏とも、国際金融資本に好都合な政策を進め、国民の不満は高まっていた。そこで両氏が手を取り合いながら急に取り組み始めたのが「欧州軍」だ。

 「問題は、欧州が独自の安保体制を構築できるかです。マクロン大統領は欧州の独自軍の設置を提案しているわけですが、加盟国内ではコンセンサスがありません。しかも米ロ中に次いで4番目の軍事大国である英国が、今年3月にEUから離脱することから、EUの外交、軍事力が弱体するのは目に見えています。英国がEUから抜けた後、すでに引退表明したメルケル首相や国内で支持率を急速に失っているマクロン大統領の指導力では、ロシアに対抗できない事態が考えられ、その上、EU加盟国内ではハンガリーのオルバン政権のように親ロシア路線を取る国もあります。EUは対ロシア政策でコンセンサスが難しくなっているのです」(同・ジャーナリスト)

 ヒトラーではなく、ロシアにパリが燃やされかねない。

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