巨人が恐れる「人工知能野球」横浜DeNAの逆メークドラマ

スポーツ 週刊実話 2019年07月30日 18時03分

巨人が恐れる「人工知能野球」横浜DeNAの逆メークドラマ提供:週刊実話

 独走する巨人だが、原辰徳監督が「逆メークドラマ」に気を揉んでいる。現在2位につけ、AI(人工知能)分野で最先端を行く横浜DeNAが、チーム采配にそれを導入したことで、2年連続日本一の福岡ソフトバンク、孫正義オーナーも警戒を始めたという。

 両リーグ最速で50勝に到達、7月22日時点で2位に7ゲーム差を付ける原巨人。スポーツメディアは相も変わらず、原監督と、FAで広島から丸佳浩を獲得したフロント陣の礼賛ばかりが目立つ。しかし、他球団から驚異の目で見られているのは、7ゲーム差に急接近した横浜DeNAの「AI采配」なのだ。

 その代表が、ソフトバンクの孫正義オーナーだ。7月18日に都内で開いた自社のイベントでのコメントに、心境がよく表れている。

 「この数年で日本はAI後進国なってしまった。手遅れではないが、目覚めないといけない。(中略)『AIに何ができる』と低く評価するのは時代錯誤も甚だしい」

 このように、同じIT企業であるDeNAなどのAI開発に同意を示し、パ・リーグの首位を走るソフトバンクホークスも含めて、グループ全体にハッパをかけたのだ。

 「孫社長が言いたかったのは、AIの革命は始まったばかりで、インターネットに例えるなら25年前の状況だと。当時はヤフーやアマゾンが生まれたばかりで、フェイスブックもグーグルもない。球界も同じで、巨人、阪神が中心の頃からインターネットの時代を迎え、ソフトバンクが牽引する時代に変わったが、安穏とはしていられない。今度はAIを取り入れたチームが覇権を握る。それがAIを利用したソリューション(解決策)に力を入れるDeNAだと先読みしているのです」(全国紙の経済部記者)

 巨人が恐れているのも、DeNAのAIを使った采配である。

 DeNA首脳は4月に10連敗した時点で今季のペナント優勝を断念。ラミレス監督の采配能力に見切りをつけると、優勝チームを巨人と想定し、徹底的なデータ分析を開始した。

 「裏の監督室」と呼ばれるチーム戦略部にDeNAのゲーム開発アナリスト4人による精鋭部隊を作って、これまでスコアラーたちに頼っていたリサーチの飛躍的向上に成功した。結果、5月下旬まで最下位だったチームを2位に押し上げたことが、何より物語っている。しかし、本領を発揮するのはこれからだという。

 「チーム戦略部のゲームアナリストたちが取り組んでいるのは、トラックマン(弾道測定器)を使って巨人の各打者の球種に合わせた打球の方向をデータ化することです。メジャーリーグ流の大胆な守備シフト(遊撃手や二塁手が打者に応じて二塁ベース後方を守るシフト)も出来上がっています。投手の配球分析も精度が高まっており、AI知能が次の1球を高確率で予測できるんです。だが、実戦投入はCS(クライマックスシリーズ)まで封印します。巨人との短期決戦で最高のパフォーマンスを発揮させるのが最終的な目的ですから」(DeNA関係者)

 4番の筒香嘉智は7月15日の広島戦から2番に変更すると、同17日から3試合連続でマルチ安打を記録。巨人の坂本勇人が2番でリーグトップの本塁打を放っていることを分析した結果で、出塁率が高い中で得点圏打率が低い筒香の特性をリカバーするための「AI采配」といえる。この打順変更は監督、コーチ陣も承知していなかったという。つまり、チーム戦略部からのトップ指令なのだ。

 20日の中日戦では、筒香、乙坂智、投手の石田健大以外、6人の右打者を起用して右腕の山井大介を攻略し、2017年から続いた連敗を5で止めた。これも、「山井攻略の鍵は右打者」というAI知能による采配だった。

 これまでのラミレス監督の采配やDeNAの戦力なら怖くもないが、敵将がAIに代わり、既存のセオリーは通用しない。2ケタ近い貯金を持つ原監督が神経を尖らせているのもこのためだ。

 「これまで監督やコーチの経験や勘、サイン盗みといった野村克也さんの時代の戦術とは一線を画する、確率に裏打ちされた戦術です。将棋や碁では既に人工知能に勝てない時代を迎えている。今年3月にダイヤモンドバックスと戦略的パートナーシップを結び、AIを駆使した最新のメジャー流情報収集戦略を取り入れた優位性は、巨人の巨大戦力をもってしても大きな脅威。ペナントレースを優勝しても、CSでひっくり返される可能性は高い」(スポーツ紙デスク)

 昨季、広島が2位に7ゲーム差を付けて3連覇したように、2007年にCS制度がセにも導入されて以来、ぶっちぎり優勝が目立つ。2位以下のチームが深追いせず、CS出場を優先して戦うからだ。2017年が10ゲーム差、2016年も17・5差。1996年には11・5ゲーム差あった広島のリードを長嶋巨人がひっくり返した「メークドラマ」は今も語りぐさだが、もはやその再現は難しい。

 巨人がリーグ優勝に最も近いのは間違いないが、ところがどっこい、今季はCSまで奥の手を封印するDeNAの「逆メークドラマ」が待ち受けるのだ。

 セの貯金を巨人がすべて独占していることから「勝率5割に満たないチームはCSを辞退するべきだ」などという無茶苦茶な声も出始めたプロ野球界。それだけ巨人陣営がDeNAのAI采配を恐れていることの証左なのである。

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