俺達のプロレスTHEレジェンド 第49R 興行主から技術と経験を重用された実力者〈マサ斎藤〉

スポーツ 週刊実話 2014年12月07日 15時01分

 マサ斎藤とアントニオ猪木の“巌流島決戦”が行われたのは、1987年10月のこと。はや四半世紀以上が過ぎたが、いまだ強烈なインパクトとともにこれを記憶する人は多いだろう。
 この年、マサ斎藤は海賊ガスパーの乱入により観客の暴動を招いた不可解試合と、その再戦となったノーロープ手錠デスマッチ、IWGPリーグ決勝戦(この大会よりIWGPヘビー級王座を制定)と、猪木との重要な試合を立て続けにこなしていて、巌流島はその最終決着戦的な位置付けにあった。
 とはいえファンの間に「またマサ斎藤?」というマンネリ気味の感情があったのも事実である。

 ファンが望む前田日明とのシングルマッチは実現しないまま。近い将来、新日に本格復帰となる長州力との対戦も期待されていた。そんな中にあって、猪木とマサはいったんナウリーダー軍として世代抗争での共闘姿勢を見せていながら、再度両者が闘う、その意義からして曖昧だった。
 それでも猪木が「巌流島での無観客試合」という未体験の試みに際してマサを指名したのは、恐らく「マサなら安心して任せられる」という考えがあってのことだろう。
 もしこれが、同年に初来日したクラッシャー・バンバン・ビガロが相手であったなら、2時間を超える長丁場はもたないだろうし、そもそも“決闘”というムードを作ることすらかなわなかったはずだ。また、レフェリーの仕切りや観客の声で試合のリズムをつくることもできない状況なのだから、まだまだ若い前田が相手というのも、きっと難しかっただろう。
 「しかもこのとき、猪木の体調は最悪。40度近い発熱と、試合途中には右肩の脱臼もあったらしい。そんな猪木をリードし、試合を形作ったのはマサの力があってこそでしょう」(プロレス記者)。
 ちなみにこの試合、マサが松明にぶつけられる場面の印象が強いものの、フィニッシュはそれからまだしばらく闘った後の猪木のスリーパーホールド。満身創痍の猪木を引き立て、なおかつ試合を最後までダレさせなかったのはさすがとしか言いようがない。

 実際、マサにはどんな状況にも対応できるだけの技術と経験があった。
 技術面でいえば、レスリング東京五輪代表の実績からも疑いの余地はなく、経験でいってもアメリカでは数えきれないほどの修羅場をくぐってきている。
 「ムタやカブキのようにギミックでスターとなったのも立派なことですが、マサのアメリカでの活躍はそれらと一味違います」(同・記者)

 マサがアメリカで獲得したタイトルにはタッグ王座が多く、これは興行の脇を固める人材として重用されていたことの証である。
 「特にレスリング技術に長けた選手が好まれたAWAにおいては、帝王ニック・ボックウィンクルのパートナーまで務めるほど高く評価されていました」(同)
 日本人という属性に関係なく現地のマットに溶け込んでいたともいえよう。

 そのAWAでは、ヘビー級王座にも挑戦するなどメーンキャストの一員となったが、そこで予期せぬ事態に巻き込まれる。'85年、警察官への暴行容疑により収監されてしまったのだ。
 重量挙げ五輪代表からプロレス入りしたものの日本ではイマイチ振るわなかったケン・パテラが器物破損の嫌疑を受け、これを逮捕しようと宿泊ホテルにアメリカンポリスたちが踏み込むと、同室のマサがこれを次々となぎ倒した…というのが巷間伝わる武勇伝だ(実際にはマサは手を出していないとの説もある)。
 残念なのは、このときの1年6カ月に及ぶ監獄生活のため、アメリカでの選手活動が中断してしまったこと。40代半ばで選手寿命もそろそろ終盤という大事な時期で、この直前までロード・ウォリアーズやハルク・ホーガンとも抗争していたマサが、アメリカマットでどこまでキャリアアップしていたかは興味深いところである。
 ただ、そうなればアメリカでの活動が主体となるだろうから、巌流島決戦が行われなかった可能性は高い。また、その後にマサがスカウトして日本マットに送り込んだビッグバン・ベイダーの来日もなかったかもしれず、きっとプロレスの歴史は大きく様変わりしていたことだろう。

〈マサ斎藤〉
 1942年、東京都出身。本名は斎藤昌典。明治大学在学中にレスリング日本代表として東京五輪に出場。卒業後の'65年に日本プロレス入り。東京プロレスに参加するも崩壊後は渡米してフリーに。猪木のライバルや維新軍の参謀として活躍。'99年引退。

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