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徳川家康は宇宙人と会っていた?

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 牧墨僊(まき・ぼくせん)によって記された「一宵話」の二巻に奇妙な話がある。あの江戸幕府を開いた徳川家康が、駿府城で小型エイリアンと接触していたという記録が残されているのだ。

 1609(慶長14)年4月4日の朝、駿府城の庭に異様な姿をした「ヒトガタ」が立っていた。手足はあるものの、指はなく、ひたすら天を指し示している。不気味な容姿は「肉人」とでも表現したらいいのだろうか。家臣たちは大騒ぎになり、「なんだ!あれは、妖怪か、人か」「こやつは、どこぞの間者(かんじゃ)か」と口々に騒いだが、どうにもならない。騒動が大きくなったので、大御所である家康の耳に入れた。

 すると、家康は「どこか、人目のつかぬところに追い払ってしまえ」と指示した。結局、家臣たちが総出で追いかけ回し、城から遠い小山の方まで追い立てて捨ててきたという。

 後日、この話を聞いた物知りの人物が嘆きながら言った。

 「なんとも惜しいことをしたものだ。大御所さまの周囲にいた家臣たちが『学』がない者ばかりだったため、まれに見る仙薬を入手できないようになってしまった。この『肉人』は、『白沢図』に載っている『封(ほう)』という存在だ。この肉を食べると滋養強壮になり、武勇も増したのに、まったくもったいない」

 この話、一見よくある妖怪話に見えるのだが、エイリアンが当時の政権の実力である徳川家康にコンタクトを求めてきたという可能性はないだろうか。現代でも、ロシアやアメリカの大統領に対し、エイリアンがコンタクトをとっていると噂されている。ならば、江戸初期の日本に飛来したエイリアンが家康と接触してもなんら不思議はない。

 ちなみにこの「封」の姿を描いた絵は残念ながら存在していないが、その記述から鳥山石燕が描いた「ぬつへつほふ(ぬっぺっぽう)」が似ているのではないかということで、よく引き合いに出されている。よってここでも紹介させていただくが、可能であれば姿を描いた絵を見てみたいものだ。

(山口敏太郎)

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