「0対2からフルセットに持ち込み逆転勝利。本当に粘り強くなった」(特派記者)
中田久美監督(52)も、今大会ではこれまでとは違う姿を見せていた。なんと涙を見せたのだ。
中田監督といえば、解説者時代、テレビ放送中に後輩たちを一喝し、「コワイ人」のイメージがしっかり定着している。代表監督に就任してからも“妥協を許さない猛練習”で、選手たちをビビらせてきた。そのスケバン監督が泣いたのだ。
「ホームでの大会3日目、オランダにストレート負けした際、試合後の会見で中田監督は下唇を噛んだまま、ジワ〜ッと涙をこぼし、『ただ悔しさだけです。選手云々ではなく…』と答えただけでした」(関係者)
スケバン監督が泣いた。これを伝え聞いた選手たちが驚いた。世界ランキングでオランダは8位、日本が6位。僅差とはいえ格下に負けた屈辱は選手たちも感じていたが、その衝撃は大きかった。
「試合内容もよくありませんでした。しかし、中田監督は選手を責めてはいない。それが、選手たちの胸に響いたのでしょう」(同)
この時点で日本は2勝4敗。序盤は「緊張した」という選手談も聞かれたが、もう言い訳はできない。「そろそろ一喝ありそうな…」と選手たちもビビッていたが、指揮官の言動に心打たれたという。
「そこから連勝し、星を五分まで戻した。まさに監督の涙が選手たちを変えたということです」(前出・特派記者)
スポ根ドラマのようだが、低迷の続いていたバレー女子が復活の兆しを見せたことは間違いない。「涙はオンナの武器」と言うが、鬼の目にも涙、スケバン監督の涙は特効薬となった。
上位6カ国が進むファイナルまでの道のりは厳しいが、チーム再建は着実に進んでいる。“涙”という最終兵器を手にしたスケバン監督が、次に何を見せるのか、注目だ。