勝海舟と坂本龍馬の意外な共通点

トレンド 2010年09月18日 10時00分

勝海舟と坂本龍馬の意外な共通点

 江戸幕府を崩壊に導いた勝海舟と坂本龍馬には共通点がある。それは先祖代々の武士ではなかったという点である。

 幕末の攘夷から倒幕という時代の流れをもたらしたキーパーソンとして、勝と坂本は外せない。勝海舟は幕臣でありながら、早くから幕府の限界を見抜き、歯に衣着せずに幕府の無能を批判していた。西郷隆盛に最初に倒幕思想を認識させたとも指摘されている。戊辰戦争では主戦論者を抑えて江戸城の無血開城を実現した。その勝海舟に師事した坂本龍馬は、倒幕の推進勢力になった薩長同盟成立の立役者となった。
 現実に250年以上も続き、当時の人々にとって未来永劫存続すると思われた幕府を見限った二人の先進性は高く評価できるが、その二人の共通点は、先祖が財力で武士に成り上がったという点にある。勝の先祖は高利貸で財をなし、御家人株を買って御家人となった。坂本家も商人・才谷屋の分家筋で、土佐藩から郷士に取り立てられた。幕府を絶対視しなかった柔軟な発想には、二人のルーツが影響しているのではないか。

 二人とは対照的な存在として、進歩的な知識を持ちながらも、幕府を守り抜こうとした幕臣に小栗忠順(小栗上野介)がいる。彼は以下の言葉を残している。「父母の大病に回復の望みなしとは知りながらも実際の臨終に至るまで医薬の手当を怠らざるが如し」。幕府を回復の望みのない病気の両親にたとえた上で、それでも最後まで治療を諦めるべきではないと主張する。
 このエピソードは明治になって福沢諭吉が「痩我慢の説」で紹介した。そこには幕臣でありながら、明治政府に出仕して高官となった勝海舟らへの批判が込められている。福沢の反骨精神は了とするが、三河以来の旗本の家柄である小栗と比べ、勝の幕府への忠誠心が薄いことは、ある意味当然であった。勝や坂本のような存在が活躍する時点で、既に身分制度を前提とする幕藩体制は崩壊しつつあった。

 今年の大河ドラマ『龍馬伝』は、三菱財閥の創業者・岩崎弥太郎の視点で坂本龍馬を語るというユニークな試みになっている。この岩崎は勝や坂本とは逆の立場であった。岩崎は武士の身分を売ってしまった地下浪人であった。このような視点を持つと、坂本と岩崎のぶつかり合いは一層興味深くなる。

(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者 林田力)

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