元貴乃花親方の怒りが収まることはなかった。弟子たち8人(世話人らを含めると10人)の千賀ノ浦部屋移籍が承認され、元貴乃花親方の引退届が受理された10月1日、八角理事長は記者会見で、次のように述べた。
「(誤解を解くために)貴乃花親方と直接面会して話をしたいと思い、千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)に、『事務所に出てこられないか』と要請しました。千賀ノ浦親方は1時間半ぐらいかけて説得しましたが、断られました。いずれ一緒に協会を引っ張っていこうと思っていただけに残念です」
元貴乃花親方にすれば、散々、圧力をかけておいて、「今さら何を言っているんだ」という気持ちだったに違いない。その証拠に、引退直後にはあるマスコミに、こう語った。
「(協会サイドが詰め寄ったとされる告発状を事実無根と認めても、認めなくても)どっちみち、私は潰されたでしょう」
不信感は頂点に達し、話し合う余地はまったく残っていなかったのだ。気になるのは、この怒りの矛先。
「(今後、協会に対して行動を起こすことは)ございません」
元貴乃花親方は9月25日の引退会見で、このように答えているが、このまま黙って引っ込んではいまい。では、どういう反撃のシナリオが想定されるのか。
「近く、テレビで大々的に独占告白する可能性が大です。今年2月、貴乃花親方は理事選に落選した直後も、突如、テレビ朝日に出演して自分の主張や相撲協会の非を強く訴えました。このとき、相撲協会から出演する了承を得ていなかったことが問題になり、のちに2階級降格処分の一因にもなっています。また、放送したテレビ朝日も出入り禁止の処分を受け、こちらはいまだに解除されていません。でも、すでに協会を離れてしまった今、貴乃花親方がどこで何を言おうとなんの手続きもいらないし、遠慮する必要もない。放送するテレビ局は、またテレビ朝日でしょう」(担当記者)
そう言えば、テレビ朝日は今回の退職騒動にほとんどタッチせず、傍観を決め込んでいる。「元貴乃花批判を避けた」と、テレビ関係者はみている。
その中で、あぶり出されるのが元貴乃花親方に有形無形の圧力をかけたとされる“人物の実名”だ。協会サイドは否定しているにもかかわらず、貴乃花親方が暴走するようなことを吹き込んだのは誰か。
「貴乃花親方は引退会見では明かしませんでしたが、貴乃花一門で盟友だった阿武松理事(元関脇益荒雄)であることは明白です。阿武松理事も(貴乃花親方と)話した事実は認めています。ただ、以前と違って現在は理事ですから、協会サイドの意に沿った話し方だったのでは…。これを、貴乃花親方が圧力と感じたんじゃないでしょうか。その話の内容がどんなふうだったのか、気になるところです」(協会関係者)