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〈企業・経済深層レポート〉 婚活、農業、不動産…多業種で脚光を浴びるマッチングサービス

 企業では必要な人材、個人では結婚相手など、ネットを活用したマッチングサービス市場が急成長している。民間調査企業の調べでは、潜在市場規模は2兆5000億円超えという数値もはじき出されるほどだ。

 マッチングサービスの中でも急激に市場拡大しているのが、婚活マッチングサービスだ。国内の代表的IT企業「サイバーエージェント」関連企業の調べでは、2019年の市場規模は前年比約4割増の530億円に達し、’24年には約2倍の1037億円に拡大が予測されるという。

 婚活マッチングサービスが急成長している背景を、経営コンサルタントはこう分析する。

 「ネットでの異性とのマッチングサービスは、一昔前は『出会い系サイト』と呼ばれていて、出会い系サイトで知り合った男女がトラブルになる事件がニュースでもたびたび取り上げられたこともあって、イメージが悪かった。しかし、’15年に民間結婚相談所などの婚活事業者が、一般社団法人『結婚・婚活応援プロジェクト』を結成し、業界のルール作りや啓蒙活動を行い、婚活マッチングサービスの透明化をはかりました。これによって、ネットの婚活マッチングサービスは『出会い系サイト』とは違い、健全なサービスであるという利用者の信頼を獲得し、異性との出会いツールとして定着し始めたのです」

 婚活マッチングサービス拡大の理由はこれだけではない。
「1960年代では30歳代後半の未婚男性は4%、女性は6%。それが2015年になると男性は35%、女性は24%に急増。この背景には個人の価値観を重んじる傾向に加え、街の仲人さんと職場結婚の激減が大きい。リクルートブライダル総研の調査では20〜40代の未婚者は男性80%、女性65%が出会いの場がない状況に陥ったのです」(同)

 そこで脚光を浴びたのが結婚相談所といった婚活サービスだった。
「しかし、民間結婚相談所は諸費用がけして安くはない。登録料から成婚コストまで含めると数十万円を超えるケースも多い。この経費を極力抑えた形で登場したのがネット婚活マッチングサービスだったのです」(同)

 月会費が3000〜4000円台、高くても1万円前後。総じて相談所よりコストが安い。このため若者中心に急速に利用者が拡大していく。

 ちなみにリクルートのブライダル総研の’18年婚活実態調査によれば婚活マッチングサービスも含まれる「婚活サービス」で結婚した人の割合は、’00年1.4%だったのが、’18年には過去最高の12・7%にも達した。

 ネットを活用したマッチングサービスは婚活業界以外にも増えている。

 例えば不動産業界では、「空き家専門マッチングサービス」がある。
「今、日本は空前の空き家問題に直面しています。総務省統計では、’18年の全国の空き家数は846万戸、’30年には2000万戸の予測。不動産会社が売れる見込みがないと判断した家でも、『空き家専門マッチングサービス』では、買い手が見つかると注目を集めています」(不動産関係者)

 「空き家専門マッチングサービス」では、物件を見た人が売り手と直接交渉。交渉がまとまり、契約段階でサイト運営側の専門家が法的トラブルのないよう取引をまとめ、一定の手数料を得る。売買双方に不動産業者が絡まないため格安手数料で済むという。

 「不動産業界では、店舗や住宅機能を高めるリノベーションでもマッチングサービスが動き出していて、デザイン賞の受賞経験がある日本のトップクラスのデザイナーと客を直接マッチングするネットサービスも誕生しています」(建築デザイナー)

 スポーツ業界でもマッチングサービスの利用が拡大している。例えば株式会社東京ドームは、スポーツ経験者と習いたい人をマッチングするサービスを始めた。

「スポーツ経験者で講師になりたい人が事務局との面接を経て、スポーツ講座をWEB上に登録。受講者は受講料を払い講座に参加。ドーム側は手数料として受講料の25%を得るシステムです」(男性インストラクター)

 講座は一般的な「陸上の走り方講座」に始まり、「アクロバット忍者教室」など、多種多様で受講者の満足度も高いという。

 農業業界でも、多忙農家の人材確保、農機具の貸し借り、農作物の売買などができるマッチングサービスが出てきている。

「ネットマッチングサービスは、効率的で利便性が高く低コストにつながるため、あらゆる業種での活用が広がっています」(前出・経営コンサルタント)

 マッチングサービスは今後も増える気配だ。

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