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経済成長鈍化でも中国の『国防費』増大は止まらず…

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提供:週刊実話

 中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)で、19年の「国防費」が前年比7.5%増の1兆1900億元弱(約19兆8000億円)に決まった。伸び率は前年の8.1%増に比べると若干低下しているものの、経済成長が鈍化している状況下で、前年に続き経済成長目標を上回り、結果、中国の「国防費」は2000年に比べ10倍近くに膨張した。

 ちなみに米国の国防費は7500億ドル。日本は433.7億ドルで、中国の国防費の4分の1以下、ロシアは意外にも448.4億ドルだ。日本の防衛予算の大半を占めるのは人件費で、装備には十分な予算は配分できない。

 中国の国防費は“公称”だ。それは、国連などが定め世界のほとんどの国が採用している算入基準ではなく、独自の方式で予算を公表しているからだ。

 例えば、諸外国では国防予算に算入される最新兵器開発費が入っていない。その上、人民解放軍に納入される兵器は、中国の科学技術の進歩によって輸入依存度が大きく低下している。その結果、欧米主要諸国に比べて極めて安価な国産兵器への依存度が増大しており、10年前より軍事力を大幅に増強・整備できるようになっている。

 中国の“国防費”は公表されている数字の3倍と推定されているが、中国軍のスポークスマンは「GDPの1.3%でしかなく、批判される筋合いはない」と弁明している。これは日本だけでなく、南シナ海周辺諸国やインドまでの安全保障に重大な脅威を及ぼす。軍事力増大の背景には、次の3点が挙げられる。

①、陸地争奪戦は終わり、海洋支配の時代になった。
「シルクロード経済圏構想『一帯一路』を語る場合によく引用されるのは、明時代に鄭和(ていわ)提督率いる艦隊が7度にわたり中近東、アフリカへ遠征した歴史です。南シナ海での人工島建設・軍事基地化は、鄧小平時代に打ち出された『内海化計画』の一環で、『真珠の首飾り戦略』は、インド洋沿岸諸国での海軍基地確保を『内海化』と同時進行させるためです。これらが完成すれば、次に中国海軍は西太平洋進出を本格的に目指すことになり、同海域で、米国と太平洋を2分しての覇権確保が目標とされているのです」(軍事アナリスト)

②、西側の軍事筋が注目しているのは自前の空母配備、アフリカのジブチに中国軍の海外基地もさることながら、海軍の艦艇増強と、ジェット戦闘機を最新鋭モデルと交替させ、およそ2000機増やしていることである。とりわけ注目されるのが『殲20』で、これは米軍のF22に匹敵すると評価される。

③、宇宙とサイバー空間における支配権の確立、いわゆる「制天権」奪取だ。

 中国の軍事力に弱点はないのか。
「共産党一党独裁の中国は、党の正当性を示すことが至上命題です。革命世代はまだ建国を果たしたという大義がありましたが、江沢民以降は経済成長と『抗日勝利』というウソが共産党の正当性となっていました。しかし経済成長が失われた現在、中国共産党と習近平国家主席にとっての正当性は『抗日勝利』くらいしかありません。とはいえ、インターネットが発達した現在では、日本軍と戦ったのは共産党軍ではなく国民党軍で、それも勝っていないことはバレています。そうなると、軍事による領土拡大を果たしつつ、国内の不満分子を抑えるしか手はありません。それが国防費と治安維持費の増大の理由なのです。もちろんその結果、中国国内の医療福祉などへの対策費は抑えられ、人民の不満はさらに増大していくことになるでしょうネ」(中国ウオッチャー)

 チャイナ指導者の幸せ優先では、民はたまったものではない。

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