『ONE PIECE』第63巻、人種差別のアナロジーで物語に深み

トレンド 2011年08月06日 17時59分

 尾田栄一郎が『週刊少年ジャンプ』に連載中の漫画『ONE PIECE』第63巻が、8月4日に発売された。押しも押される大人気娯楽漫画であるが、人種差別を連想させる設定が盛り込まれ、物語に深みが増している。
 この巻は前巻からの魚人島編の続きである。前半は麦わらの一味が引き起こす魚人島での騒動と新魚人海賊団の襲撃を描く。ルフィは、しらほし姫を連れて「海の森」を目指す。後半は回想シーンで魚人島の悲しい歴史が明らかになる。タイガー・フィッシャーとオトヒメ王妃という異なる道を選択した二人の指導者が中心であるが、ジンべエやアーロンの若い頃も描かれる。

 『ONE PIECE』は壮大な一続きの物語であるが、スリラーバーク編やマリンフォード編などの複数のエピソードに分かれている。魚人島編の直前のマリンフォード編は世界政府海軍や白ひげ海賊団、王下七武海が一堂に会して大盛り上がりとなった。その直後ということで魚人島編への期待も高かったが、マリンフォード編の続きを期待する向きには肩透かしとなった。新しい海軍元帥は誰かなどのマリンフォード編が生んだ謎の解明は、お預けとなっている。

 この展開は空島編と共通する。空島編もグランドライン突入後からの大きな話であるアラバスタ編の直後のエピソードであった。しかし、空島編は空中に浮かぶ空島という隔絶された場所を舞台とした独立性の高い話になった。空中に浮かぶ空島と海底にある魚人島、大地(ヴァース)を求める空島の住民と太陽に憧れる魚人というように空島編と魚人島編は設定が好対照となっている。
 そして社会問題へのアナロジーという点でも空島編と魚人島編は共通する。空島編では先祖代々居住していた土地を追い出された先住民シャンディアと神エネルの対立が背景にあった。これはパレスチナ問題を連想させる。そして魚人島編も人間による魚人や人魚への差別が背景にある。登場人物の人魚に「人間が姿形の違う者達を区別したがる気持ちが分からない」と語らせている。これは強烈な人種差別批判である。
 『ONE PIECE』は今の日本で娯楽漫画の頂点に立つ存在である。この巻の初版発行部数は390万部で国内最高記録を更新した。娯楽性を維持しながらも、ストーリーが盛り上がった直後に、パレスチナ問題や人種差別のような社会的なテーマを連想させるエピソードが挿入される。やはり『ONE PIECE』は侮れない。

(林田力)

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