最近のスカウトマンは条例の関係でナンパを装って声をかけるため、昔に比べればドレスダウン傾向。大半はストリートファッションで路上に立っており、かつてのようにスーツに袖を通す者はいない。
「迷惑防止条例が試行される前後にあたる十数年前、スカウトマン人口が劇的に急増したのは漫画『新宿スワン』の影響です。作中のようなドレススーツに身を包み、なんとなく女の子と関わる仕事がしたいという軽い気持ちのガキが大多数でしたから、10人中9人は即座に飛びましたね。今でも残っているのは、いわゆる半グレのような人種ばかりです」
とはいえ、気合の入った精鋭ぞろいとはいえ、必ずしも彼らが稼げるかといえば話は別だ。
ヤクザやホストと同様、スカウトの世界もごく少数の勝ち組とそれ以外の負け組では、天と地ほどの収入格差があるようだ。
「経営者や幹部クラスでなく、プレイヤー(路上スカウトマン)で月に3ケタ稼げる奴は、業界全体で20人に1人もいませんね。30万円(月給)稼げたら上々で、20万円で並。月に1〜2人の女の子しか引っ張れずに、10万円少々しかもらえない連中がゴロゴロいます」
もちろん、女性と話をする際の喫茶店や食事代は、各スカウトマンの自腹となる。これではまともに生活ができない上に、身なりや自信、女の子に与える安心感にも差がついてしまう。
稼げる者は稼げるが、稼げない者はどんどん“負のスパイラル”にハマまってしまうわけだ。
「近年のスカウトマンは女の子をお店に紹介するだけでなく、その子の待遇をお店と交渉したり、客からの貢がせ方を指導したりと、マネージャー兼コンサルタント的な存在です。特に最近の女の子はドライで『条件がいい店があれば移りたい』と常に考えているため、お店のボーイよりも僕らスカウトのほうが信頼されがち。プライベートでも相談に乗っているうちに恋愛関係に発展することは当然あるため、ヒモになって会社を辞めてしまう奴も少なくないですね」
稼ぎのいい女性のヒモになることを業界内では「あがり」と呼び、貧困生活から脱出する手段として、それを夢見る末端スカウトマンも多いようだ。