また病院前に並ぶ”門前薬局”といわれる保険調剤薬局でも、クレカが利用できるところは多い。そしてカードを使える病院も増えている。
国立病院機構や大学病院では、早くからカード決済が導入されており、徐々に公立病院や民間病院、一部の診療所にも広がっている。例えば1年間に支払う自己負担分が約50万円とすると、還元率1%のカードを使用しているケースでは医療費の支払い分で年間5000円程度のキャッシュバックを受けられる。
健康保険には、1カ月に患者が支払う自己負担分に上限を設けた「高額療養費」という制度がある。医療費の負担によって家計が破綻し、貧困に陥らないように配慮したもので、この制度のおかげで際限なく医療費がかかるという心配はない。
1カ月の限度額は年齢や所得によって決まっており、たとえば70歳未満で、年収約330万〜770万円の人の限度額は《8万100円+(医療費−26万7000円)×1%》。1カ月の医療費が100万円かかった場合は、8万7430円が限度額となる。
治療が長引いて、過去12カ月間に高額療養費の対象となった月が3回以上になると、4回目以降はさらに限度額が引き下げられて4万4400円になる。これが「多数回該当」という制度だ。
このように高額療養費制度によって、患者の負担は一定額までに抑えられるとはいえ、療養が長引くと個人の負担は決して軽いとはいえない。多数回該当が適用され、月々の負担が4万4400円でも、毎月かかれば1年間で約53万円になる。
ただし医療費をカード決済にする場合、特にリボ払いは借金と同じなので、家計との兼ね合いで無理のない方法を選ぶことも肝要だ。