生命工学の専門家で09年に脱北した金炯洙(キム・ヒョンス)博士が、北朝鮮の知人の話として明らかにしたところによると、公演の際の衣装が10年前に韓国でヒットした連続ドラマ『お嬢様をお願い!』(09年制作)に出てくる主人公役の人気女優ユン・ウネが着ていた服と似ているといった声が北国内で上がっているという。
「その衣装とは、芸術団の女性コーラスグループが着用した、片方の肩が露出したドレスだということです。芸術団は中朝国交70周年を記念して訪中したもので、27日には朝鮮民謡の『アリラン』などを披露し、中国の習近平国家主席らも鑑賞しました」(北朝鮮ウオッチャー)
北朝鮮では韓国ドラマの視聴は厳禁だ。見つかった場合は処罰される。党が市民向けの講演会で使う「扇動資料」でも最近、「敵(韓国)たちは我が国に対する思想文化的浸透策動に熱を上げている」「(北朝鮮の文化を守るために)統制を強化すべきだ」との締め付けを頻繁に行っている。
「北朝鮮当局の統制が行き届かないほど韓国カルチャーが深く浸透している証拠でしょうね。市民は何を言われようとUSBメモリーなどに保存する形で、主に中国経由で密輸された韓国ドラマに熱中しています。それでこっそりとドラマの登場人物の衣装や髪形をまねる人が後を絶たないのです」(同)
一方フランスのメディアが昨年11月に報じたところによると、同国情報機関、国内治安総局(DGSI)は北朝鮮に情報を提供していたスパイ容疑で、同国上院事務局のブノワ・ケネディ容疑者を逮捕したという。同容疑者は過去、何度も訪朝歴があり、昨年9月9日の北朝鮮建国70年軍事パレートにも招かれていた。
「フランスは北朝鮮にとって欧州の重要な拠点の一つですが、同時にDGSIは、北朝鮮の動向では欧州で最も深い情報を有しています。また他国の情報機関と情報を共有することを好まないのも特徴です。北朝鮮の情報機関担当者は、フランスにある程度浸透していたということでしょう」(国際ジャーナリスト)
韓国ドラマを禁じることも仕事なら、フランスの役人に媚薬を嗅がせることも北・情報特局のお仕事ということか。