享年70。金ピカ衣装に満面の笑み、やり込められると赤いハンカチをくわえて「つらいの〜」と泣きを入れる。出てくるだけで舞台がパッと明るくなった。
愛媛県出身のたかしさんは、1969年に相方の横山ひろし(72)とともに「たかしひろし」でデビュー。当時は下ネタ満載のオカマチックな漫才だったが、「大金持ちのおぼっちゃま」「藤圭子が愛人や」などのホラ吹きが大ウケ。
「松竹の漫才師としてのプライドを持ってはった人ですね」(若手漫才師)
師匠は伝説の漫才師・故横山やすしさん。たかしさんは、生前、師匠についてこう語っていた。
「そらもう無理難題、数知れず。数も忘れるぐらいどつかれました」
他の弟子がやすしさんの暴力・暴言に耐えかねて廃業、移籍していく中、相方と一緒に横山の名前を守り、後進の指導にも熱心だった。
「やすしさんとは正反対のやさしい師匠で、弟子の面倒見がよく、若手からも慕われてました。やすしさんを反面教師にしていた部分もあったんでしょうね」(演芸ライター)
しかし、同年代の漫才師が見た横山評は少し異なる。
「ええ格好しいで、弱虫。自分のイメージにこだわるあまり、せんでもええ苦労をしてはりました。もっと楽にやりゃよかったのに」
1994年に上方漫才大賞を受賞。2014年には腰部脊柱管狭窄症を発症したが、不自由な体を逆手にとって「安倍総理からもらった48億円の純金の車椅子」(もちろんホラ)に乗って、舞台に上がり続けた。
昨年秋に入院し、今年開場した松竹芸能の新劇場「心斎橋角座」への出演もかなわなかった。
苦労人でもあった漫才師・横山たかし、あんたの人生は“金ピカ”やったで〜!
合掌――。