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蝶野正洋の黒の履歴書 ★働き方改革と共に“育て方改革”が必要

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提供:週刊実話

 テニスの大坂なおみ選手、ゴルフの渋野日向子選手とか、東京オリンピックに向けてスポーツ界に次世代のホープが続々誕生してる。

 みんなすごく身体能力も高いし、センスもあって、努力家。日本から世界レベルのアスリートがどんどん出てきそうで嬉しいんだけど、ちょっと心配なのは、彼らが突出しすぎて、同世代の若者たちと格差が広がっている気がするんだよ。

 恵まれた選手は小さい頃からすごく鍛えてるし、練習してる。でも、やらないヤツはとことんやらない。だから全体的な日本人の運動能力が上がっているのかって言ったら、そうでもないんじゃないかな。

 これはやっぱり、そういう時代なんだろうね。部活でも、ぶっ倒れるまでやらせるなんてことは、もうなくなっただろうから。でも、才能がなさそうだったヤツが、ガムシャラに練習して伸びるっていう機会もなくなってしまうよな。

 仕事だってそうだよ。若い奴らに、全身全霊でやらせる機会がないから、育たない。テレビ業界とかを見てても、それを感じるよ。新人のADが入ってきたら、大体3カ月から半年ぐらいは研修期間で、とにかく様々な雑用をやらされる。そうやって鍛えられてから、第一線の現場に出てくるというシステムになってる。

 ただ、いまの3カ月と昔の3カ月は違うんだよ。昔のテレビの現場は、画に描いたようにブラックな職場だから、3カ月間家に帰さず、寝ないで働かせたりしたからね。ひどい環境だけど、そうやって鍛えられたっていう側面はあると思うんだよ。でも、いまは労働時間厳守で、同じ3カ月でも中身は薄くなるから、まだ半分しか覚えてないようなやつが現場に出てきてしまう。

 俺は別に「新人は寝ないで働かせろ」ってことを言いたいわけじゃない。働き方改革で、就労時間については厳密になったけど、人を育てるシステムがあまり変わってないから、ズレが生じてるってことなんだよ。

 働き方改革をするんだったら、“育て方改革”もしなきゃ。研修期間を伸ばすとか、より効率的なカリキュラムを作らないと、一人前に育たない。よっぽどやる気のあるやつじゃないと、成長しないシステムになってるんだよ。

 やる奴だけが伸びるっていう話で言うと、俺のいたプロレスの世界では、やっぱりどれだけ試合の経験を積めるかってことが大事なんだよ。プロレスはどんなに練習しても、たくさん試合をしないと成長しない。だから、試合数が少ない団体に所属してたら、それだけで不利なんだよ。

 俺が若い頃は、年間150試合とか当たり前だった。それと、月に数回しか試合のないレスラーと比べたら、同じキャリア10年だったとしても、大きな差が付いてしまうってことだよ。

 いま新日本プロレスが強いのは、全国を回って年間何百試合もやって、東京ドームという大きな会場でも試合してっていう経験を積めるからなんだよ。まぁ、俺から言わせれば、それに加えて暴動とかハプニングも経験しとけってことかな。

 自慢じゃないけど、新日本プロレスという激動の現場で、さまざまなハプニングを体験してきたっていうのは、他では味わえない貴重な経験だったし、俺はそれで成長させてもらったよ。

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蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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