世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第291回 北海道の「再開発」が必要だ

社会 週刊実話 2018年10月18日 20時03分

 9月27日、電気事業連合会(電事連)が「北海道胆振東部地震における大規模停電の発生について」という調査報告書を公表した。電事連は明言していないが、同報告書によって、「泊原発を稼働していれば、全道ブラックアウトは起きなかった」ことが確定した。

 電事連の報告書によると、ブラックアウトまでの経緯は以下の通りだ。
1.地震発生直後(地震発生〜周波数回復)
 地震発生を受け、苫東厚真2号機、4号機が停止し(発電:▲116万kW)、周波数が急低下した。苫東厚真1号機の出力も低下。さらに送電網の一部に障害が発生し、各地の発電所が負荷遮断。その後、北本連系設備や水力のAFC機能により周波数が回復。
※北本連系設備:北海道と本州を結ぶ連系設備
※AFC:自動周波数制御装置

2.地震発生直後(送配電線再送電〜負荷遮断2回目)
 送電網が回復し、需要が急回復。需要回復により周波数が低下し、そこに苫東厚真1号機の出力低下が重なり、再び負荷遮断。

3.ブラックアウトまで
 苫東厚真1号機が停止。負荷遮断が再開し、周波数低下により水力と北本連系設備が運転不能となり、全道ブラックアウト。

 電力とは供給側と需要側が一定の周波数の範囲内(北海道は50㎐)で安定させなければならない。さもなければ、電気機器や発電機が破損する。送電の周波数が落ちると、各発電機は出力を高めるが、それでも周波数低下を防げない場合は、自ら送電網との接続を遮断する(負荷遮断)。さもなければ、発電機が故障してしまう。

 今回のブラックアウトの発端は、地震により苫東2、4号機が停止したことだ。泊原発が稼働していた場合、何しろ200万kWのベースロード電源の発電機が動いていたことになるため、苫東厚真のシェアははるかに低かった。

 ということは、そもそも1の負荷遮断が起きなかったのである。何しろ発端は苫東厚真の116万kWの喪失なのだ。

 しかも、泊原発がある地域の震度は「2」であったため、原発は停止せず、苫東厚真2、4号機の喪失をカバーすることができた。あるいは、他の発電機が出力を上げることで、周波数の低下もなかった。当初の時点で苫東厚真2、4号機の停止をカバーすることさえできれば、その後のブラックアウトにつながる負荷遮断の連鎖は起き得なかったのである。泊原発を稼働していれば、今回の全道ブラックアウトには至らなかった。データを見る限り、確実だ。

 ところで、2018年第1四半期の大手電力会社の決算を見ると、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の4社が赤字になっている。理由は全社とも同じで、原発停止や原油価格の上昇による火力発電の燃料費増加の影響だ。

 北海道電力は黒字を確保しているが、泊原発を動かせない状況で、かつ自然災害が多発し、老朽化した発電機や震災被害を受けた発電機を動かしつつ、厳冬期を迎えることになる。泊原発が稼働すれば、老朽化した火力発電機の大々的なメンテナンスに入れるが、現状ではそれは不可能だ。老体であろうとも、フル稼働である。

 さらに一つ、北電並みにピンチに陥っているのが、JR北海道である。'16年度、'17年度と2年連続の赤字に落ち込んだJR北海道は、資金ショートで列車運行が不可能になるとして、'30年度までの長期支援を政府に求めた。国土交通省はJR会社法に基づき、政府の経営監視を強化する監督命令を出すと共に、'19年度、'20年度の2年間で400億円超の財政支援を行うことを決定。

 そもそも、人口が少ない(厳密には人口密度が低い)北海道や四国までをも独立させる形で「国鉄の分割民営化」を行ったことが間違いなのだ。JR東海やJR東日本のように、絶対にもうかる地域はいい。とはいえ、鉄道という公共インフラは「そういうもの」ではない。

 東海や東日本の利益を北海道や四国に注ぎ込んででも、国家全体で鉄道ネットワークを維持する。これが本来の公共サービスの在り方なのだが、例により「カネ、カネ、カネ」というわけで、JR東海やJR東日本は「不採算部門の切り離し」に成功し、儲かる会社に生まれ変わった。逆に、見捨てられた形になったJR北海道やJR四国は、遅かれ早かれ赤字が始まり、存続が困難になるに決まっていた。

 さて、現在の北海道は相次ぐ自然災害により、鉄道ネットワークが揺らぎ、同時に「電力の不安定」という重しまでをも背負っている。いわば、現在の北海道は日本国の先頭を切って「発展途上国化」してしまっているのだ。日本国は東南アジアの国々にODAで支援を重ねてきた。具体的に何をやってきたのか。ずばり、インフラの整備である。

 鉄道ネットワーク、電力ネットワークといったインフラを整備することで、わが国は途上国の成長を助けた。今や、日本国は北海道に同じ考え方の「支援」をしなければならないのだ。

 具体的には、まずは北海道開発庁を復活させる。その上で、国務大臣たる開発庁長官の下で、
1.北海道を「特区」とし、発送電分離などの規制緩和について適用除外に

2.JR北海道と北海道電力を「国有化」し、泊原発を再稼働。鉄道ネットワークと電力ネットワークの強化を「政府の予算」で推進

3.津軽海峡を渡る高速道路(トンネルでも橋でも構わない)の整備を開始

4.北海道を日本の「食料基地」とする

5.ロシアとの間にガスパイプラインをつなぎ、北海道を起点として日本全国のガスパイプライン網を整備
 といった、施策を総合的、計画的に進めるのだ。「予算」さえ付けば、上記は全て10年以内に達成できる。最も時間がかかる「第二青函トンネル」もしくは「津軽海峡大橋」にしても、現在の工期見積もりは15年である。政府が本気になれば(要は十分な予算が付けば)工期短縮は可能だ。

 北海道を失うことは、日本の「食料基地」を失うことを意味する。日本国の将来の繁栄は、北海道の発展なしではあり得ない。インフラ整備を中心とした北海道の「再開発」が必要だ。

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みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。

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