『江〜姫たちの戦国〜』第30回、嫉妬に苦しむ向井理の徳川秀忠

トレンド 2011年08月09日 15時30分

 NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』の第30回「愛しき人よ」が、8月7日に放送された。今回は江(上野樹里)と徳川秀忠(向井理)が互いに心を開くまでのラブストーリーであるが、嫉妬に苦しむ向井理の表情が見どころである。

 江の新婚生活は初夜の翌朝に寝坊するという前途多難なものであった。秀忠との仲の悪さは憎まれ口を叩く秀忠が直接の原因であるが、江にも問題があった。秀忠に隠れて前夫・秀勝(AKIRA)の遺品を眺めて、嘆き悲しんでいた。表向きは平静を装う秀忠であったが、内心は気になって仕方がない。江の不在時に江の持ち物を調べている。

 クールでイケメンの向井理が嫉妬心から行動する姿は斬新である。それも嫉妬に狂うのではなく、あくまで冷静沈着に行動しながらも、表情で隠しても隠しきれない悔しさを出している。時代劇でありながら、恋愛ドラマの要素が強いところが良くも悪くも『江』の特徴である。欲望にまみれた豊臣秀吉(岸谷五朗)の茶々(宮沢りえ)への想いさえも美しい恋として描いた。恋愛の美しい面だけでなく、男の嫉妬という醜い感情も正面から描いている。

 婚儀から一年経過後も二人の仲は冷え切ったままで、別々の場所で食事をとる家庭内別居状態であった。ついに江は離縁を決意するが、ある事件が起きる。田渕久美子の原作では1596年に起きた慶長伏見地震となっているが、ドラマでは火事に設定変更された。東日本大震災の被災者への配慮であろうが、秀勝の遺品を小道具に使うことで深みを増した。

 身の危険も顧みずに人の命を救おうとする行動は感動的である。自分を命がけで助けてくれる男性に恋に落ちる展開は恋愛物の王道である。しかし、自分が好きな人を助けることは、自分のためでもある。

 これに対して自分にとっては無価値であるが、相手にとって大切なものを守る行動は、相手を想っての行動である。これは決して独り善がりな優しさではない。江でなくても心を動かされるところである。秀忠の「愛しき人」への想いが表現された内容であった。
(林田力)

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